スウェーデンの自動車メーカー「サーブ」の旧本社工場(トロールヘッタン)に保管されていた最後の開発車両と試作車8台が、5月21日から30日にかけて一般オークションに出品されることが明らかになった。
このオークションには、自律走行車や車輪内蔵モーターを搭載した電気自動車など、サーブの技術遺産を象徴する幻のプロトタイプが含まれている。同工場は1947年にサーブの本拠地として設立され、その後半世紀以上にわたり、900ターボなど革新的なモデルを生み出してきた歴史的な場所だ。
サーブの遺産を受け継いだNEVSの挑戦
2012年、サーブの破産後に設立された「NEVS(National Electric Vehicle Sweden)」は、電気自動車(EV)と自律走行技術を中心とした再建を目指したが、中国の不動産大手「エバーグランデ」の支援を受けながらも、最終的に頓挫した。今回のオークションは、そのNEVSがトロールヘッタン工場で開発した最後の車両群の処分にあたる。
出品される8台のうち、特に注目を集めるのが自律走行テスト車両と、車輪内蔵モーターを搭載した電気自動車のプロトタイプだ。このほか、レンジエクステンダーハイブリッドのテストカーや、NEVS時代に製造された9-3のプレプロダクションモデルも含まれる。これらの車両は、いずれもエンジニアリング用の試作車であり、磨き上げられたコレクションというよりは、実験的な開発の過程で生まれた「戦傷を負った」作業車両だ。
エバーグランデの挫折と工場の終焉
NEVSはエバーグランデの支援を受け、EVや自律走行システム、実験的な駆動系の開発を進めてきたが、エバーグランデ自身の財政難により2023年に大規模なレイオフが発生。工場は徐々に空き状態となり、今回のオークションで最後の車両が処分されることになった。
また、オークションにはエバーグランデの自動車事業の一環として開発された「Hengchi 5」という電気SUVも含まれる。これらの車両は、スウェーデンのオークションハウス「Klaravik」を通じて5月21日から30日まで入札が行われ、最低落札価格は設定されていない。
工場見学とオークションの詳細
入札締め切り前の同月中旬には、トロールヘッタン工場の見学会も実施される。関心のあるコレクターや愛好家は、出品車両の詳細をKlaravikのウェブサイトで確認できる。
サーブのトロールヘッタン工場は、1947年の設立以来、革新的で個性的なモデルを数多く生み出してきた。しかし、2000年代後半にGMから売却された後、10年以上にわたる低迷を経て、今回のオークションでその歴史に幕を下ろすこととなった。