テネシー州の議員らは先週、学校における「大量虐殺の脅迫」に関する州法の改正案を可決した。同法はこれまで、子どもたちが冗談や誤解で重罪に問われる事例が相次いでおり、障害を持つ子どもや有色人種の子どもが特に被害を受けてきた。
改正法では、学校関係者が警察に通報できるのは「実行される可能性が合理的に考えられる信憑性のある脅迫」に限定される。従来の法では、いかなる脅迫も報告しなかった場合、学校幹部が軽犯罪で起訴される可能性があった。同改正案は、プロパブリカとWPLNによる調査報道を受けて議論が加速した。
障害を持つ子どもたちへの影響
昨年、テネシー州チャタヌーガの公立チャータースクールが、自閉症の11歳の子どもを警察に通報したとして、家族が連邦裁判所に提訴し、10万ドルの和解金を獲得した。また、知的障害を持つ自閉症の10代の少年は、ランドセルが触れられると爆発すると教師に話したところ、中身がぬいぐるみだったにもかかわらず逮捕・起訴された。この少年の母親は現在も学校区を提訴中だ。
ナッシュビル近郊のウィリアムソン郡でも複数の家族が、子どもが「脅迫」の疑いで不当に停学や逮捕をされたとして学校区を提訴。学校側は法廷で主張を否定し、訴えの却下を求めたが、裁判官は「妥当な主張がある」として審理を続行することを認めた。
議員の発言と法改正の背景
共和党のフェレル・ヘイル上院議員(改正法の共同提案者)は3月下旬の委員会審議で、「障害を持つ子どもたちが、実行不可能な発言で逮捕される事態を防ぎたい」と述べた。ヘイル議員は、自身の選挙区に通う障害を持つ5年生の事例に触れ、学校の警察官が「逮捕したくない」と家族に伝えていたが、法の要件上、信憑性のない脅迫でも重罪に問わざるを得なかったと語った。
「一部の郡では、信憑性がないと判断された脅迫であっても、常に重罪として起訴することが慣例化していた」
— フェレル・ヘイル上院議員
ヘイル議員の今回の方針転換は、昨年までの共和党の立場からの大きな変化だ。同議員は2025年にも同様の法案を提出していたが、当時は党内の支持を得られなかった。今回の改正は、プロパブリカとWPLNによる調査報道が大きなきっかけとなった。
今後の展望
ヘイル議員は、改正法が障害を持つ子どもたちを保護するだけでなく、学校と警察の関係を見直す契機になると期待を示した。一方で、学校関係者や警察当局からは「信憑性の判断基準が曖昧」との懸念も聞かれる。今後は、具体的な運用ガイドラインの策定が課題となる。