ニューヨーク市警の特殊部隊「コミュニティ対応チーム(Community Response Team、以下CRT)」が、連邦裁判所の命令で義務付けられた職務質問の監視を3年にわたり怠っていたことが明らかになった。2,000件以上の職務質問が未審査のまま放置され、憲法違反の摘発が見落とされていたのだ。

この問題は、連邦裁判所のモニター(監督官)によって最近発見され、裁判所に報告された。モニターは、CRTの活動が憲法に違反していないかどうかを確認するため、職務質問の審査を義務付けられていたが、その監視が実施されていなかったという。

CRTとは?拡大する過激部隊の実態

CRTは、主に「生活の質(quality-of-life)」の向上を名目に、無免許バイクやATVの取り締まりなどを担当する部隊として知られる。しかし、その活動はしばしば過激な手法に及ぶことで批判を浴びてきた。高速追跡や不透明な運用が、市警内部からも懸念されていた

当時の市長エリック・アダムズ氏の支援により、CRTは大幅に拡大された。しかし、その拡大に伴い、違法な職務質問や市民からの苦情が増加。CRT隊員の半数以上が、過去に少なくとも1回の不正行為で市民苦情審査委員会から懲戒処分を受けていたことが、昨年のプロパブリカの分析で明らかになっている。これは、市警全体の平均を大きく上回る数字だ。

違法な職務質問の実態とモニターの指摘

昨年のモニター報告書によると、CRT隊員による職務質問のうち、合法と認められたのはわずか59%に過ぎなかった。これは、通常のパトロール隊員の合法率を大きく下回る数字だ。さらに、これらの職務質問のほとんどが、黒人やヒスパニック系住民を対象としていた。

モニターのミラン・デネルスタイン氏は、今回の未審査の発覚について、「憲法違反の職務質問、身体検査、捜索が見過ごされていた」と述べ、その責任を厳しく追及した。

「今回の監視不履行により、CRTの憲法遵守率は実際には報告されていた数値よりも低い可能性が高い」
— ミラン・デネルスタイン(連邦モニター)

市警当局は、問題の解決に向けて「改善策を講じている」と主張するが、その対応の遅れが改めて浮き彫りとなった。

長年にわたる市警の不履行問題

この問題は、2013年の連邦裁判所による「職務質問」に関する判決に端を発する。当時の判決では、ニューヨーク市警が黒人やヒスパニック系住民に対する違法な職務質問を繰り返していたと認定され、是正措置が義務付けられた。しかし、市警はその後も度々義務を怠り、職務質問の記録すら残していないケースが後を絶たない。

特にCRTのような過激な部隊では、その傾向が顕著だ。隊員の半数以上が過去に不正行為で懲戒を受けているという事実からも、その実態がうかがえる。市民からの信頼回復に向け、市警の抜本的な改革が求められている。

出典: ProPublica