米国のトランプ政権が、経営難に陥っている格安航空会社スピリット航空に対し、最大5億ドル規模の公的支援を検討していることが明らかになった。

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、この支援策には連邦政府が同社の株式を大量に取得できる「ワラント」が含まれる可能性があり、運輸省と商務省が協議に参加しているという。しかし、現時点では正式な決定には至っていない。

スピリット航空の経営悪化の背景

スピリット航空は、コスト削減を徹底した「裸の骨」とも称されるサービスで知られていたが、2025年3月に最初の経営破綻から脱却した直後から再び経営難に陥った。新型コロナウイルス感染症のパンデミックからの回復が遅れ、人件費や運航コストが高騰。さらに、国内航空業界の過剰供給や、エアバス機のエンジン不具合による2023年のリコールも追い打ちをかけた。

2024年にはジェットブルーとの経営統合が米司法省によって阻止され、2025年3月から6月までの間に2億5700万ドルの赤字を計上。その後、再び経営破綻を申請するに至った。

トランプ大統領の発言と支援の是非

トランプ大統領は4月22日、CNBCのインタビューでスピリット航空の経営難について言及し、「スピリットは困難に直面しており、誰かが買収するのが望ましい。1万4千人の雇用を守るため、連邦政府が支援すべきだ」と述べた。

「スピリットは困難に直面しており、誰かが買収するのが望ましい。1万4千人の雇用を守るため、連邦政府が支援すべきだ」
— トランプ大統領(2026年4月22日)

一方で、この支援策に対する批判も根強い。過去に航空業界全体を支援したのは、新型コロナウイルス流行時と同時多発テロ後の2回のみ。いずれも単一の航空会社ではなく、業界全体を対象とした救済策だった。

運輸長官のショーン・ダフィー氏は、ロイター通信のインタビューで「良いお金を悪いお金の後追いにするべきではない。スピリットにはこれまで多額の資金が投入されたが、黒字化には至っていない。不可避な破綻を先延ばしにし、最終的に政府がその責任を負うことになるのではないか」と懸念を示していた。

しかし、ダフィー長官の発言は直後に覆された形となり、政権内の真意に疑問が投げかけられている。トランプ大統領やそのビジネス関係者、あるいは共和党議員がフロリダ州に拠点を置く同社の支援に何らかの思惑を持っているのではないかという見方も浮上している。

今後の展望と納税者負担の問題

スピリット航空の支援策が実現すれば、連邦政府は同社の株式を大量に取得する可能性があり、実質的な「国有化」に近い状態となる。しかし、過去の経営実績や業界の構造的な問題を考慮すると、支援が成功するかは不透明だ。

支援の是非を巡っては、納税者負担の観点からも議論が巻き起こることが予想される。特に、単一の企業に対する支援が正当化されるのか、また、その財源がどのように確保されるのかが注目される。