米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長に指名されたケビン・ウォーシュ氏は、2026年4月21日に行われた上院銀行委員会の公聴会で宣誓を行い、証言に臨んだ。写真はアンドリュー・ハーニック氏(ゲッティイメージズ)による。
トランプ大統領がFRB議長のジェローム・パウエル氏を標的にした捜査・告発を続ける中、ウォーシュ氏の公聴会は開催された。これは法の支配と長期的な経済見通しの双方を揺るがす行為だ。
独立性を示すチャンスを逃す
ウォーシュ氏にはFRBの独立性を守る意思を示す機会があったが、結果的に失敗に終わった。表面上は独立性を支持する発言をしていたものの、肝心の2つの質問には答えなかった。
- トランプ大統領によるパウエル議長への刑事捜査は適切か?
- 自身の金融政策に不満を持った大統領から報復を受けた場合、ウォーシュ氏はどう対応するのか?
この2つの質問は極めて重要だ。トランプ氏が求める利下げと、イラン戦争が引き起こすインフレの衝突は避けられない。しかしウォーシュ氏はどちらの質問にも答えず、それどころか2番目の質問は誰からも投げかけられなかった。
「優秀な候補者」の実態
ウォーシュ氏はトランプ氏が検討した他のFRB関係者候補とは異なり、明らかに狂気や無能さは見られない。テレビで簡単に反証される主張をするタイプではなく、むしろ洗練されており、市場経験も豊富で、ジョージ・W・ブッシュ政権下でFRB理事を務めた経歴もある。多くの尊敬する人々が、ウォーシュ氏はFRB議長にふさわしいと口を揃える。
しかし問題は能力ではなく、独立性と勇気だ。特に現在のホワイトハウスの状況を考慮すればなおさらだ。
政策転換の疑問符
ウォーシュ氏はこれまで、トランプ氏が求める緩和政策とは正反対の立場を一貫して主張してきた。トランプ氏は経済状況にかかわらず利下げを求めており、FRB議長候補にとって利下げへのコミットメントが「リトマス試験」だと明言していた。その一方でウォーシュ氏は、インフレ抑制派として知られ、高金利とFRBのバランスシート縮小を支持してきた。
リーマン・ブラザーズ破綻の翌日にも「インフレを懸念する」と発言したウォーシュ氏だが、実際にはデフレが進行した。ウォーシュ氏の立場は一貫していたが、例外が2度あった。いずれもトランプ氏がホワイトハウス入りする直前のタイミングだった。トランプ氏が再選目前の2024年11月にはFRBの利下げを批判していたウォーシュ氏だが、数か月後にはFRB議長の座を狙うタイミングで方針を転換した。
そのタイミングの不自然さは明らかだ。