トランプ氏、ヘルツォグ大統領にネタニヤフ恩赦を要求
トランプ前米大統領は、イスラエルのアイザック・ヘルツォグ大統領に対し、首相のベンヤミン・ネタニヤフ氏への恩赦を求める圧力を再び強めている。米メディア「Axios」とのインタビューで、ヘルツォグ氏がネタニヤフ氏を恩赦すれば「国民的英雄」になると発言した。
戦時下のイスラエルで注目を集める恩赦問題
トランプ氏はインタビューで、ネタニヤフ氏が自身の汚職裁判について言及したと明かし、同氏が水曜日(インタビュー翌日の2024年9月4日)に再び法廷に立つと述べた。その上で、トランプ氏は「戦争の真っ只中に、そんなことをするのか?冗談だろ」と批判した。
また、トランプ氏は「ヘルツォグ氏は素晴らしい人物だ。ネタニヤフ(ビビ)に恩赦を与えれば、国民的英雄となるだろう。非常に感謝されるだろう」と述べ、ネタニヤフ氏の裁判がイスラエルの評判を傷つけていると主張。容疑を「ワインと葉巻」と表現し、政治的な見返りを得るための贈収賄疑惑(ネタニヤフ氏は容疑を否認)を軽視した。
「ビビは戦時中の首相だ。このような裁判が続くのは不当だ」とトランプ氏は述べた。
選挙戦への影響とネタニヤフ氏の立場
トランプ氏は2023年6月からネタニヤフ氏の恩赦を求めており、2020年から続く汚職裁判を「でっち上げ」と表現していた。しかし、イスラエルでは10月に総選挙が予定されており、ネタニヤフ氏の選挙戦への影響が懸念されている。
仮にネタニヤフ氏が敗北すれば、有罪判決を受けて刑務所に収監される可能務性が高まる。その一方で、恩赦が実現すれば、一部の支持層から英雄視される可能性があるが、反対派からの反発も予想される。
ヘルツォグ氏の対応とネゴシエーションの行方
今週初め、ヘルツォグ氏はネタニヤフ氏の弁護団、検事総長、国家検察官を招集し、ネタニヤフ氏の事件についての示談交渉を開始した。ヘルツォグ氏は、示談交渉が尽くされた後にのみ恩赦の判断を下すとしている。
これに対し、トランプ氏は「ネタニヤフ氏は示談を受け入れられないだろう。完全な恩赦が必要だ」と述べた。しかし、イスラエルの法律では恩赦を受けるには罪の認否と反省が必要とされており、ネタニヤフ氏はこれを拒否している。
また、示談が成立する可能性も低いとみられている。ネタニヤフ氏が有罪を認めれば、一定期間公職を禁止される可能性があり、政治家としてのキャリアが事実上終了するためだ。検察側も、軽微な容疑での示談に応じる可能性は低いとされる。
トランプ氏の態度変化の背景
今年3月のインタビューでは、ヘルツォグ氏を「恥さらし」と呼び、さらに「弱腰で哀れな人物」とまで非難していたトランプ氏。しかし、今回は態度を軽くした形だ。イスラエルの高官は、トランプ氏がヘルツォグ氏への攻撃が効果を上げていないと判断したか、ネタニヤフ氏からの働きかけがあった可能性を指摘している。
イスラエルの司法と政治の行方
ネタニヤフ氏の汚職裁判は、イスラエルの司法と政治の在り方を巡る議論を巻き起こしている。恩赦の是非を巡る議論は、選挙戦の行方だけでなく、イスラエルの将来にも影響を与える可能性がある。