報復ポルノ訴訟で被告が仮名使用を申請、判事が認可

ニューヨーク州クイーンズ郡のスコット・ダン判事は2025年7月、報復ポルノに関連する訴訟において、被告が仮名を使用することを認める判断を示した。この事例は、いわゆる「猫を袋に戻す」という法的アプローチの一例として注目される。

当事者間の複雑な関係と訴訟の経緯

原告(P.F.)は、被告のM.B.と約1年にわたり真剣な交際関係にあったと主張している。しかし、M.B.は当時既婚者であり、配偶者のカルセタスとの関係を維持していたという。さらに原告は、M.B.とカルセタスが共謀し、同意なく原告のプライベートな写真や動画を無断で拡散したと主張。これらの行為は、原告の母親、ビジネス関係者、さらには原告の事業を買収しようとしていた第三者にまで及んだ。加えて、被告らはソーシャルメディアやメールを通じて原告を脅迫し、精神的・経済的損害を与えたとしている。

原告は2023年3月の訴訟提起当初から仮名使用を申請し、同年8月に認められた。しかし、M.B.は当初から実名で訴訟に関与していた。その後、2025年4月にM.B.が反訴を提起。その中で、自身のプライベートな画像を無断で公開されたことや、同意なしに薬物を投与されたとする「暴行(中毒・非同意薬物投与)」を主張した。

被告の仮名使用申請と判事の判断

2025年7月、M.B.は今後の訴訟手続きにおいて仮名を使用することを申請した。判事はこれを認め、主に以下の理由を挙げた。

  • 公益性の低い私的な主張であること:被告の主張は、公的活動ではなく、あくまで私的な個人間の問題に関するものであり、裁判の公開原則に影響を与えるものではない。
  • 極めてプライベートな内容であること:被告の主張は「極めて親密な内容」であり、報復ポルノに関連するものである。
  • さらなる精神的苦痛の可能性:被告は宣誓供述書で、実名での訴訟継続がさらなるトラウマを引き起こす可能性があると主張。悪夢、睡眠障害、治療の必要性を訴えている。
  • 被害の拡大防止:実名使用は、事件の周知を広げ、被告の屈辱感を増大させ、再被害を招く可能性がある。

判事は、被告が過去の手続きに関しては遡及的な救済を求めていないことも考慮し、今後の手続きに限定して仮名使用を認めた。

「猫を袋に戻す」法的アプローチの意義

この判決は、プライバシー保護の観点から、当事者の精神的健康を優先するアプローチの一例と言える。一般的に、裁判手続きの透明性が重視される中、被告のような例外的な措置が認められるケースは限られている。しかし、本件では、被告の主張が「報復ポルノ」という極めてプライベートでセンシティブな内容であり、公益性が低いことが判断の分かれ目となった。

専門家らは、この判決が今後の類似事案における判断基準となる可能性を指摘している。

出典: Reason