米メディア大手パラマウント・グローバルとワーナー・ブラザース・ディスカバリーの1,110億ドル規模の合併取引が、中国資本との関係を巡り米当局の注目を集めている。取引の4割近くを中東の主権基金が占める中、中国テンセントもかつて関与していたが、米議員らはCFIUS(外国投資委員会)による審査を求めている。

テンセントの「巧妙な関与」

パラマウントは2025年のSEC(米証券取引委員会)書類で、CFIUSによる審査は不要と主張。その理由の一つとして、中国テンセントが「もはや取引の資金調達パートナーではない」と明記していた。しかし、米議員らはこれに疑問を呈し、テンセントが「巧妙に審査回避を図っている」と指摘する。

具体的には、テンセントは当初は10%の株式を保有していたが、後に5%以下に引き下げたとされる。この「引き下げと再参入」のパターンが、CFIUSの審査回避を意図したものだと議員らは主張。民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員とコリー・ブッカー上院議員は共同書簡で、以下のように述べた。

「テンセントが撤退し、金額を下げて再参入した事実は、CFIUSの審査が必要であることを示す。むしろ、審査回避を意図した構造的な仕組みの証拠だ」

中国資本の「見えない影響力」

テンセントは米国防総省から「中国軍関連企業」に指定された中国企業の一つ。同社は2023年にパラマウントと合併したスカイダンス・メディアの初期投資家でもあった。現在は「受動的投資家」として存続しているが、その関与がメディアの報道内容に影響を与える可能性を懸念する声もある。

パラマウントは、中東の主権基金が経営に関与しないことや、テンセントが「純粋な資金提供者」であることを強調。しかし、議員らは「見えない影響力」の存在を指摘し、CFIUSによる包括的な審査を求めている。

メディア支配の行方

この合併により誕生するメディア帝国は、CNN、CBS、パラマウント映画などを傘下に収める。中国資本との関係が報道の独立性に影響を与えるのか、米当局の動向が注目される。