ロシア、暗号資産規制の包括的法案を第一読会で可決
ロシア下院国家院は4月22日、暗号資産とデジタル権利に関する包括的な規制法案を第一読会で可決した。327対13の賛成多数で承認され、同法案は「デジタル通貨およびデジタル権利に関する法律」と題されている。同法は暗号資産の発行、取引、保管方法を包括的に定める枠組みを構築するもので、2026年7月1日に施行される予定となっている。
規制対象の5分類とライセンス要件
法案では、暗号資産市場における規制対象を5つのカテゴリーに分類している。具体的には、取引所、ブローカー、運用会社、保管機関、両替業者が対象となる。これらの事業者はロシア銀行(中央銀行)からのライセンス取得が義務付けられ、監督下で運営される。中央銀行には、取引制限やコンプライアンス要件の導入を含む広範な監督権限が与えられる。
暗号資産を「財産」と位置付け
法案の最大の特徴は、暗号資産を「財産」として法的に位置付けた点だ。これにより、暗号資産保有が法廷での争いや破産手続き、離婚時の財産分与において正式に認められるようになる。その一方で、国内決済における暗号資産の使用は引き続き禁止され、ルーブルが唯一の合法通貨として維持される。
しかし、国際取引における暗号資産の活用は解禁される。これにより、ロシア企業は従来の金融システムを経由せずに海外パートナーとの取引を可能にし、制裁下の貿易環境下でも柔軟な決済手段を確保できるようになる。法案の支持者らは、この規定がロシア企業の国際取引における競争力向上に寄与すると期待している。
投資家区分と取引制限
法案では、投資家を「適格投資家」と「非適格投資家」に区分し、それぞれ異なる規制を適用する。適格投資家はより緩やかな規制が適用される一方で、非適格投資家はテストの実施や年間購入額の上限が課される。これにより、一般投資家のリスク暴露を抑制する狙いがある。
また、暗号資産市場へのアクセスはライセンスを取得した仲介業者に限定される。2027年以降は、仲介業者を介さない直接取引が原則禁止され、それまではP2P取引が合法とされるものの、支払いのブロックやブラックリスト登録などの執行措置が早期に導入される見込みだ。
デジタル資産の保管とマイニング規制
法案では、デジタル資産の保管に関するルールも定められている。新たなデジタル預託システムが導入され、個人ウォレットへの移転制限や外国機関への引き出しに関する制限が設けられる。また、マイニング活動についても規制が設けられ、ロシア国内のインフラを使用することや採掘された資産の正式な会計処理が義務付けられる。
今後の課題と修正要望
第一読会では圧倒的な支持を得たものの、一部の議員や委員会からは規制の行き過ぎが市場発展を阻害する可能性があるとの指摘が出ている。特に、国家院競争保護委員会は過度な規制がイノベーションを抑制する懸念を表明している。今後、法案は第二読会、第三読会を経て正式な法律として成立する見通しだが、具体的な運用ルールの策定や修正が必要とされる段階に入っている。
「この法案はロシアの暗号資産市場にとって歴史的な転換点となる。しかし、規制のバランスをいかに取るかが今後の課題だ」
— ロシア金融専門家