米ワシントン州西部地区連邦地方裁判所のデイビッド・エスティジオ判事は12日、ワシントン大学タコマ校(UW Tacoma)のソーシャルワーク学部を相手取った訴訟「アリアス対UWタコマ」において、学生原告の主張を一部認め、訴訟の進行を認める判断を下した。
判決文によると、原告の学生は2023年4月20日、指導教員のヴァーン・ハーナー氏と面談し、自身の「ジン(小冊子)プロジェクト」の構想について話し合った。学生は「女性の権利」に焦点を当てる予定で、ハーナー氏にパソコン画面に表示されたGoogle検索結果を示したが、記事は開いていなかった。ハーナー氏は「信頼できる情報源を使用するように」とだけ助言し、プロジェクトがソーシャルワークの価値観や倫理に反するとは述べなかった。
その後、ハーナー氏は学生のパソコン上で開かれていたと主張する記事を特定し、内容が「トランスジェンダーの人々が刑務所内で他者に性的暴行を行う」というテーマであり、自身の倫理観に反する「TERF(トランス排除的急進的フェミニスト)の主張が含まれている」と判断。同僚のクラウディア・セルマイヤー氏に相談し、4月27日には学生から提出されたジンの草稿を確認した。
ハーナー氏は草稿を「トランスジェンダーを標的とした有害な内容」と非難し、激しく動揺。学生に対し「これはトランスジェンダーを標的にしている」と発言し、その場で面談を終了した。その後、ハーナー氏は同日午後、同学部の学部長ケヴァ・ミラー氏に報告し、専門委員会(PSC)への報告を勧められた。ハーナー氏は午後2時12分、学生にメールを送信し、当日の面談ができない旨を伝えるとともに、セルマイヤー氏とクリス・バランズ氏への連絡を指示。メールには「あなたの草稿はソーシャルワークの価値観・倫理に反する有害な内容であり、適切な議論が行われるべきだ」と記載したが、具体的な理由は示さなかった。
さらに、ハーナー氏は午後2時50分までにPSCへの報告書を提出。学生側は、この一連の対応が「報復的措置」にあたると主張し、訴訟を提起していた。
学生側の主張:社会正義の一環か、差別的表現か
学生側は、ジンプロジェクトが「女性の権利と社会正義の一環」であり、ハーナー氏の反応は「トランスジェンダーの人々を排除する主張に基づくもの」だと主張。一方で、ハーナー氏は「ソーシャルワークの倫理基準に反する内容」と判断し、PSCへの報告に至ったと説明している。
今後の展開:報復の立証が焦点に
今後は、ハーナー氏の対応が「報復」に該当するかどうかが争点となる見込み。判決では、原告の主張を「一定の事実関係においては合理的」と認めたものの、最終的な判断は今後の審理に委ねられる。
「原告の主張は、特定の事実関係においては合理的であり、訴訟の進行を認めるに足る」
— デイビッド・エスティジオ判事