米メディア大手のワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)は14日、パラマウント・グローバルへの完全買収を株主総会で承認した。総額810億ドル(約11.8兆円)の株式取引は、HBO Max、映画「ハリー・ポッター」シリーズ、CNNなどが統合される歴史的なメディア再編となる。

WBDによると、株主の95%以上がパラマウントへの売却に賛成。株式1株当たり31ドルで全株式が買収される。負債を含む総額は1110億ドルに達し、合併後はパラマウント傘下のCBS、Paramount+、映画「トップガン」などと統合される見込みだ。

規制審査と実行時期

合併は依然として規制当局の承認が必要な状態だ。WBDは2024年第3四半期中の完了を目指すとしている。一方、株主総会では経営陣への報酬計画が否決された。

経緯:Netflixとの競争と敵対的買収

パラマウントのワーナー買収構想は順風満帆ではなかった。昨年後半、ワーナーはNetflixと720億ドル規模のスタジオ・ストリーミング事業提携を模索していた。しかしパラマウントは直接株主にアプローチし、Netflixが望まなかったケーブル事業を含む完全買収を提案。三社による公開での企業戦争が展開された。

当初はワーナー経営陣がNetflix案を支持していたが、パラマウントがより高い買収額を提示すると、Netflixは交渉から撤退した。こうしてパラマウントの勝利が確定したが、業界への影響は大きい。

業界からの反発と政治の動き

合併に対し、俳優、監督、脚本家ら約1万人が「断固反対」を表明。合併が制作の選択肢を狭め、雇用を失う恐れがあると主張している。ジェーン・フォンダ氏が率いる「Committee for the First Amendment」は、株主総会の結果を「重大な後退」と位置付けながらも「戦いはまだ終わっていない」と強調した。

ワシントンで開催された公聴会では、民主党のコーリー・ブッカー上院議員が「単なる企業取引ではない。誰がニュース、エンターテイメント、物語を支配するのかが問われている」と発言。合併はハリウッドに残る5大スタジオのうち2社を統合し、Paramount+とHBO Max、CBSとCNNという主要ストリーミングとニュースメディアを傘下に収める大規模再編となる。

経営陣は消費者にとってプラスになると主張するが、業界団体や政治家からはメディアの寡占化と表現の自由への懸念が強まっている。