求職活動が数カ月に及ぶ中、筆者はエンターテイメント中心のSNS利用を大幅に減らし、LinkedInに集中していた。しかし、就職活動を一時中断し、気分転換にThreadsを開いたところ、衝撃的な求人広告に出くわした。
米ノースカロライナ州シャーロットに拠点を置くベビー用品小売業者が募集していたのは、リモートフルタイムのクリエイティブストラテジスト。職務はコンテンツ、ブランディング、ソーシャルメディア戦略の立案で、求人票には「人の目を引き、購買につなげるコンテンツを作れる人材」が求められていた。しかし、肝心の給与は年収55,000ドル(約820万円)。中級から上級のマーケティング職としては、あまりにも低い水準だった。
この求人広告は瞬く間に炎上。一部からは、求人主(黒人女性起業家)に対する人種差別的な非難も飛び交った。その一方で、起業家の立場を理解する声もあった。元同僚からは、この役職を「分数型エグゼクティブ」やパートタイム契約に変更する提案があった。また、ユーモアを交えた皮肉も多く見られた。
起業家本人は、自身が修士号取得後に同額の給与で働いていた経験を踏まえ、多くの人がこの条件でも喜んで応募すると主張。既に応募が殺到していると述べた。彼女は「不満な人は黙ってスクロールし続ければいい」と反論した。
筆者は自身の状況を振り返った。半年以上フルタイムの仕事に就いていない中、この求人に応募すべきか。かつてなら絶対に考えなかったであろう「半分の給与」という選択肢が、現実味を帯び始めている。求職活動が長引くにつれ、かつての「譲れない条件」が曖昧になっていく──。 billsの支払いや冷蔵庫の空き具合が、意思決定に影響を与えているのだ。
決して意識的に基準を下げているわけではない。しかし、求職活動が8週目、20週目を超える頃には、同じ「譲れない条件」が徐々に薄れていく。これは誰にとっても、決して望ましい状況ではない。