米上院銀行委員会のティム・スコット委員長(共和党)が主導する暗号資産規制法案「CLARITY法」の審議が、議員間の住宅政策を巡る対立により遅れる可能性が出てきた。これまでの最大の争点だった安定コインの利回り規制については、議員間の妥協案が成立したが、共和党内の足並み不一致や個別議員の要求が新たな障害となっている。

安定コイン利回り規制を巡っては、ティリス議員とアルソプロークス議員による妥協案が成立。この案では、利回り付与をプラットフォームの利用活動に紐づく形に限定し、保有中の余剰資金に対する受動的な利回りを禁止することで、暗号資産企業が高利回り預金口座のような商品を提供することを防ぐ内容となっている。

しかし、スコット委員長はこの妥協を共和党内の結束につなげる必要があり、5月の超党派審議入りに向けて「銀行委員会の共和党議員13人全員の支持」を獲得することを公言している。一方で、ジョン・ケネディ議員(共和党)は住宅政策に関するホワイトハウスとの対立を理由に支持を留保していると報じられている。

ケネディ議員の住宅政策への不満が審議に影響

ケネディ議員は、21世紀住宅法(ROAD to Housing Act)に対するホワイトハウスの対応に不満を抱いており、同議員が提出した「Build Now Act」の上院可決後も、下院との調整が未完了となっている。ケネディ議員は、スコット委員長が必要とする票を握っており、暗号資産規制法案の審議スケジュールに影響力を行使している。

残された主要な争点

  • ソフトウェア開発者の保護規定:未だ交渉中のBRCA/セクション1960に関する規定。銀行委員会と司法委員会の関係者、暗号資産業界が関与。
  • 倫理・マネーロンダリング防止規定:民主党や法執行機関、銀行規制当局からの反対が再燃する可能性。共和党の結束が進んでも、支持を狭める要因に。
  • スケジュール調整:5月中旬を過ぎると夏場の審議が困難に。上院指導部や委員会スタッフ、下院関係者が調整を急ぐ。

銀行業界の懸念と業界の反応

銀行業界は、暗号資産発行者が余剰資金に対する利回りを提供することで、預金が伝統的な銀行システムから流出することを懸念していた。一方で、暗号資産企業は利回りを商品の魅力として訴求したい考えだった。妥協案はこの対立を解消したが、銀行業界からは「経済的・機能的に同等の仕組み」を回避するための抜け穴が残るとの懸念が示されている。

暗号資産調査会社ガラクシーの4月レポートによると、未解決の争点として、分散型金融(DeFi)規定、非保管型ソフトウェア開発者の保護、倫理規定、共和党委員会の完全支持獲得が挙げられている。これらの課題は、異なる交渉を必要とする複合的な問題となっている。