最高裁が「カレイス事件」で下級審判決を支持

米国最高裁判所は2024年5月15日、ルイジアナ州の選挙区割りを巡る訴訟「カレイス事件(Callais v. Louisiana)」で、下級審である地区裁判所の判決を支持し、事件を差し戻す判決を言い渡した。判決文の最後の部分には以下の文言が記載されている。

「地区裁判所の判決を支持し、本判決に沿った手続きに則り事件を差し戻す。以上、命ずる。」

判決の執行は直ちには行われない

しかし、この「命ずる」という文言は直ちに効力を発揮するわけではない。米最高裁の規則によれば、判決の執行(remand)は即時には行われない。判決が下されてから実際に下級審に差し戻されるまでには一定の期間が必要とされる。

過去の事例でも見られた執行時期を巡る対立

この判決の執行時期を巡る問題は、過去の注目すべき事件でも議論されてきた。例えば、

  • ブッシュ対ゴア事件(Bush v. Gore)
  • ブメディエン対ブッシュ事件(Boumediene v. Bush)
  • トランプ対ヴァンス事件(Trump v. Vance)
  • トランプ対マザーズ事件(Trump v. Mazars)
  • DHS対レジデンツ事件(DHS v. Regents of the University of California)
  • ホール・ウーマン・ヘルス対ジャクソン事件(Whole Woman's Health v. Jackson)

などが挙げられる。また、オバーフェル対ホッジス事件(Obergefell v. Hodges)の判決後には、第六巡回区外の司法管轄区でも同性結婚の許可が直ちに発行されたが、これは差し止め命令に拘束されていたためであった。

ルイジアナ州の対応:憲法適合の選挙区割りを既に採用へ

今回のカレイス事件の原告であるルイジアナ州の私人原告らは、最高裁に対し「直ちに判決を執行せよ」との要請を行った。しかしルイジアナ州はこれに対し、判決の執行は実務上関係ないとの立場を示している。ルイジアナ州の主張は以下の通りである。

「最高裁の2024年5月15日付命令には、『管轄権が確認または延期された場合、本命令は判決の送付まで有効である』との文言が含まれている。しかしこれは、下級審の判決が支持された場合に命令が自動的に終了するという上記の文言と矛盾する可能性がある。とはいえ、この矛盾は実務上問題とならない。なぜなら、命令が既に終了しているか、判決の送付時に終了するかに関わらず、ルイジアナ州が最高裁の判決に沿った憲法適合の選挙区割りや手続きを直ちに採用することを妨げるものは何もないからだ。」

ルイジアナ州の主張は正当である。地区裁判所は差し止め命令を出しておらず、最高裁は地区裁判所の判決を支持したに過ぎない。そのため、判決が正式に執行されていなくとも、ルイジアナ州は最高裁の判決を先例として採用し、憲法に適合した選挙区割りを採用することが可能だ。実際、ルイジアナ州は今後1週間以内に新たな選挙区割りを採用する見込みであり、これによってこの訴訟は実質的に解決されることになる。

最高裁に求められる対応は「何もしないこと」

以上の経緯から、最高裁はカレイス事件に関して「何もしない」という判断を下すことが最も適切である。ルイジアナ州は既に憲法適合の選挙区割りを採用する準備を進めており、実務上の争点は消滅しつつあるためだ。

出典: Reason