米メイン州のブルーベリー農場「クリスタル・スプリング・ファーム」では、昨年の夏、ブルーベリーの葉が例年より早く赤く変色した。州全体を襲った深刻な干ばつが原因だった。農場主のセス・クロエック氏(55歳)は、ブルーベリーの木がストレスを受け、実が成熟する前にしなびたと説明する。同農場の2025年の収穫量は、わずか7%にとどまった。

「去年は、ほとんど収穫できなかった。7%の実りがあっただけです」とクロエック氏は語る。4月にはわずか数センチに成長したばかりの新芽を指さし、「去年の収穫は、多くの労力を費やした割に見返りがほとんどなかった」と振り返った。同農場の72エーカーに及ぶブルーベリー畑では、過去7年間で3度もほぼ全滅に近い被害を受けている。

専門家によると、こうした気候変動による被害は、メイン州のブルーベリー農家にとってますます一般的になりつつある。しかし、その解決策は高額な投資を必要とするという。

メイン州の象徴的な果実、ブルーベリー

メイン州のブルーベリーは、ロブスター・ロールやウーピーパイと並ぶ同州を象徴する食材だ。しかし、スーパーで販売されている栽培ブルーベリーとは異なり、野生種は小粒で風味が強く、通常は冷凍で流通する。ブルーベリーの木は、メイン州の砂や小石の多い土壌に自生し、灌漑が難しい環境で育つ。

メイン州の農場は、米国で商業的に流通する野生ブルーベリーのほぼ全量を生産しており、2023年には8,800万ポンド(約4万トン)を収穫し、3億6,100万ドル(約540億円)の売上を上げた(メイン州ブルーベリー委員会調べ)。

「ブルーベリー産業は、メイン州の基幹産業であり、州の特徴そのものです」とクロエック氏は語る。同氏はミズーリ州セントルイス出身で、友人との園芸がきっかけで農業の道に進んだ。大学では版画を専攻したが、その技術は農場経営の現場で役立っているという。

数千年にわたり受け継がれるブルーベリー栽培

野生ブルーベリーは、北米原産の数少ない果実の一つで、その群落は農家が管理する前から数千年にわたり存在していた。クロエック氏は「ブルーベリーの木は何千年も前からそこにあり、先祖代々の農家や、それより前の先住民コミュニティによって大切に育てられてきました」と語る。同氏は、ブルーベリーの他にも穀物や牧草を栽培している。

ブルーベリーの木は、隔年で実をつけるため、農家は通常、毎年半分の面積で収穫を行う。また「ローブッシュブルーベリー」とも呼ばれるこの品種は、栄養分の乏しい砂地や小石の多い土地に密集して生育する。主な産地は、米国ニューイングランド地方とカナダ東部だ。

「ブルーベリーの土壌は栄養が乏しく、他の作物は育ちません。しかし、ブルーベリーはその環境を好むのです」と、メイン大学の持続可能農業教授で農業生態学研究室を率いるレイチェル・シャットマン氏は説明する。

出典: Grist