米国の病院食に新たな栄養基準、HHSが医療機関に通達
米国の病院食に関する新たな栄養基準が発表され、医療機関に対し糖分や栄養バランスの悪いメニューの是正が求められている。米保健福祉省(HHS)のロバート・F・ケネディ・ジュニア長官は3月30日の記者会見で、2025年から2030年にかけての米国農務省(USDA)栄養ガイドラインに基づく食事提供を病院に義務付ける方針を表明した。
連邦資金の支払い停止も視野に
HHSは、メディケア・メディケイドサービスセンター(CMS)を通じて病院に対し、栄養基準に適合しない食事を提供した場合、連邦資金の支払い停止を含む厳しい措置を検討することを通知した。これは、病院の財政的なインセンティブを強化する狙いがある。
同基準では、病院が提供する飲料や栄養補助食品(例:エンシュアなど)についても規制対象となる可能性があり、ケネディ長官の上級顧問であるカルリー・ミーンズ氏はX(旧Twitter)で「病院が患者に糖分を含む飲料を提供している場合、政府基準に違反し、 reimbursement(医療費償還)が危険にさらされる」と警告した。
医療関係者から批判の声
しかし、この政策は医療関係者や専門家から強い反発を招いている。トロント大学の助教授で栄養士のケビン・クラット氏は「これは政治的パフォーマンスに過ぎない。HHSにはこれほど強力な規制権限はない」と述べ、さらに「人々の選択をコントロールしようとするのは、ファシスト的な行為に見える」と批判した。
また、一部の医師や医療提供者からは、患者一人ひとりの栄養ニーズを考慮しないこの政策が、医療現場の実情にそぐわないとの指摘もある。さらに、共和党系の政治家や保守派からは、規制強化に対する反発も予想される。
法的権限の有無も疑問視
法律専門家や栄養士の間では、HHSが正式なルールメイキングプロセスを経ずにこのような措置を実施できるのかという疑問も呈されている。ミーンズ氏はKFFヘルスニュースの取材に対し、X上で「民主党の『トランプ敵視症候群』により、病院が患者にソーダやジャンクフードを大量に提供することの医学的重要性を擁護する事態になっている」とコメントした。
病院食の改善に向けた取り組み
HHSの広報担当者であるアンドリュー・ニクソン氏は「多くの病院が食事改善に取り組んでいることを評価する。すべての病院システムに同様の取り組みを期待する」と述べた。また、CMSは病院食が栄養ガイドラインに適合するよう、「参加条件」の更新を通じて指導を強化すると発表した。
メディケアとメディケイドは、米国の病院支出の最大の支払い元であり、この政策が病院経営に与える影響は計り知れない。今後、病院側の対応や患者からの報告がどのように進展するか、注目が集まる。