肩の痛みの主な原因

肩は体で最も可動域が広い関節でありながら、その分負担が大きく、年齢を問わず痛みを引き起こしやすい部位です。ニューヨーク大学ロチェスター校整形外科の肩・肘科部長であるイリヤ・ヴォロシン医師は、「肩の痛みは加齢や日常的な摩耗によるものが多いですが、転倒や重い荷物の持ち上げ、スポーツなどによる突発的な外傷も原因となります」と述べています。

主な原因

  • 加齢による腱の脆弱化:腱は年齢とともに損傷を受けやすくなり、特に過度の使用や適切なウォーミングアップ不足が原因で炎症や痛みを引き起こします。
  • 突発的な外傷:転倒、重い荷物の持ち上げ、庭仕事、テニスやゴルフなどのスポーツ活動による急性の負傷。
  • 神経に関連する痛み:首の関節炎や手根管症候群など、腕や肩甲骨に痛みが放散するケースもあります。

日常生活で肩の痛みを引き起こす習慣

肩の痛みは、過度な使用や外傷がなくても、日常の習慣が原因となることがあります。以下のような習慣に注意が必要です。

睡眠時の姿勢

横向きで寝ると肩関節に圧力がかかり、痛みを引き起こすことがあります。痛みを軽減するためには、圧迫されない姿勢に変更しましょう。

荷物の持ち上げ方

重い荷物を持ち上げる際に正しいフォームを取らないと、肩に負担がかかります。膝を曲げ、腕を体の近くに保ちながら持ち上げるようにしましょう。

デスクワーク時の姿勢

長時間のデスクワークやキーボード操作は、肩甲骨周りの筋肉に負担をかけます。特に猫背になると、腱板の空間が狭まり、腱の圧迫(インピンジメント)を引き起こす可能性があります。正しい姿勢を保つことで、肩関節の動きをスムーズに保てます。

代表的な肩の障害とその症状

腱板損傷

腱板疾患は肩の最も一般的な問題であり、ほとんどの人が経験する可能性があります。主な症状は以下の通りです。

  • 腕を後ろや横に動かす際の鋭い痛み
  • 夜間に悪化する鈍痛(特に仰向けで寝ると痛みが強くなることが多い)

ヴォロシン医師は、「立っていると重力が肩のボールを socket に安定させますが、横になるとその安定性が失われ、痛みが生じやすくなります。そのため、半座位やリクライニングチェアで寝ることで痛みを軽減できる場合があります」とアドバイスしています。

五十肩(凍結肩)

五十肩は、腕を動かさないことで関節周囲に瘢痕組織が形成され、動きが極端に制限される状態です。しかし、80%のケースは手術をせずに改善するとされています。ヴォロシン医師は「骨折や脱臼による痛みでない限り、動かし続けることが大切です。動かさないと五十肩になり、回復に時間がかかってしまいます。まずは理学療法を試し、コルチゾン注射が効果的な場合もあります」と述べています。

肩峰下インピンジメント症候群

肩峰下インピンジメント症候群には2つのタイプがあります。

  • 外側インピンジメント:肩峰の下で腱が圧迫されるタイプ
  • 内側インピンジメント:関節唇や腱板の損傷が原因で生じるタイプ

肩の痛みへの対処法

肩の痛みを感じた際の対処法について、ヴォロシン医師のアドバイスを紹介します。

痛みが軽度の場合

  • 安静にし、氷や温熱療法を試す
  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用
  • 軽いストレッチやエクササイズで可動域を維持

痛みが重度または持続する場合

  • 整形外科専門医の診察を受ける
  • 理学療法やコルチゾン注射を検討
  • 画像検査(X線、MRI)で原因を特定

「肩の痛みは放置せず、早期に適切な対処を行うことが回復への近道です。日常生活の習慣を見直し、予防に努めましょう」
イリヤ・ヴォロシン医師