米国発のライブショッピングアプリ「Whatnot」は、社員全員が顧客としてアプリを利用し、売買やカスタマーサポートを経験することで、顧客中心の文化を根付かせている。共同創業者兼CEOのグラント・ラフォンテイン氏は、「顧客に価値を提供することだけが私たちの存在意義。そのためには、組織の隅々まで顧客視点を浸透させなければならない」と語る。

採用段階から顧客体験を重視

Whatnotでは、面接プロセスの一環として、応募者にアプリの利用経験や改善点について尋ねる。ラフォンテイン氏は「面接で必ず、『このアプリを使ったことがあるか?使ってどう思ったか?改善点は?』と聞かれる。私たちは、応募者が実際にアプリを使い、顧客の視点で考えられるかどうかを重視している」と説明する。

社員全員に顧客体験を義務付け

同社は、1,000人以上の正社員に対し、四半期ごとにカスタマーサポートの対応とアプリ上での売買を義務付けている。社員は150ドル分のクレジットを与えられ、勤務時間内にこれらの業務を実施できる。多くの企業が「社内製品の利用(ドッグフーディング)」を掲げるが、Whatnotのように社員に義務付ける企業は珍しい。

ラフォンテイン氏自身もアプリ上で販売を行っており、先月には自社グッズを販売し、売り上げを慈善団体に寄付した。自身の販売経験を通じて、顧客が直面する課題(例えば、カメラ前で冷静さを保ちながら複数の商品を並べる難しさなど)を理解し、製品チームに改善を促したという。

即時フィードバックと顧客理解の深化

製品チームが新機能をリリースする際、社員のなかには「パワーセラー」と呼ばれる大量出品者がおり、彼らは即座に新機能を試すことができる。また、カスタマーサポートチームもアプリの利用経験があるため、顧客の問題解決に関する理解が深い。

成果として現れる顧客中心主義

同社の取り組みは実を結びつつある。昨年は2,000万件の新規アカウントが登録され、アプリ上では年間数十億ドル規模の取引が行われた。ラフォンテイン氏は「社員一人ひとりが顧客の声を聞き、自ら顧客体験をすることで、真の顧客中心主義が実現する」と強調する。