YouTubeやTikTokで活躍する個人クリエイターが注目を集める昨今、その一方で独自のIP(知的財産)と番組フォーマットを武器に成功を収める企業が存在する。MrBeast、Alex Cooper、Kai Cenatといったスタークリエイターに依存しないこのビジネスモデルは、従来のテレビ番組のように「ブランド」が主体となり、安定したコンテンツ供給と視聴者獲得を実現している。

Dropout、NowThis、Jubilee Mediaなどの企業は、個人クリエイターではなく、自社で開発したIPや番組フォーマットを軸にコンテンツを制作。これにより、特定のスタークリエイターに依存するリスクを回避しつつ、再現性の高い動画を安定して生み出すことに成功している。

スタークリエイター依存のリスクとIP戦略の優位性

「当社は、特定のクリエイターに依存する会社ではありません」と語るのは、DropoutのCEOであるSam Reich氏。同氏は、スタークリエイターに依存する戦略には「スケールの限界」という重大なデメリットがあると指摘する。「1人のクリエイターが制作できるコンテンツには限界があります。当社は、複数のクリエイターやフォーマットを活用することで、持続的な成長を目指しています」とReich氏は説明する。

Dropoutは現在、100万人以上のサブスクライバーを抱えるストリーミングサービスへと成長。そのルーツは1999年に設立されたコメディーハブ「CollegeHumor」に遡る。当初は広告付きの無料動画を提供していたが、2018年からサブスクリプションモデルを導入。現在は一部の動画を無料で公開しつつ、多くのコンテンツを有料会員向けに提供している。

安定した視聴者獲得とクリエイターの育成

Dropoutは今年、10〜12本の番組を制作する計画で、来年には15本まで増やす予定だ。代表的な番組には、Brennan Lee Mulligan氏によるダンジョンズ&ドラゴンズシリーズ「Dimension 20」や、Reich氏がホストを務めるゲームショー「Game Changer」などがある。

Reich氏は、ソーシャルメディア時代のクリエイターについても言及。「ソーシャルメディアの時代は、クリエイターにとってマーケティングやプロモーションのスキルが求められるようになりました。しかし、その結果、クリエイターとしての才能や面白さよりも、むしろプロモーション能力が重視される傾向にあります」と指摘する。「Dropoutは、そうした状況の中で、真の才能を持つクリエイターを見つけ出し、彼らの面白さを最大限に引き出す役割を果たしています」と同氏は語る。

同社はクリエイターとの関係構築にも力を入れており、クリエイターがブランドとの連携をどの程度望むかに応じて柔軟に対応。クリエイターの個性を尊重しつつ、ブランドとしての一貫性を保つバランスを模索している。

今後の展望と業界への影響

Dropoutの成功は、スタークリエイターに依存しないコンテンツ制作の可能性を示す好例だ。今後、このようなIP型のクリエイタービジネスモデルはさらに広がりを見せ、動画プラットフォームの多様化を加速させる可能性がある。

一方で、クリエイター個人のブランド力とIP型のブランド力のバランスをいかに取るかが、今後の業界の課題となるだろう。Dropoutのような企業が、どのようにクリエイターとの関係を維持しながら、独自のコンテンツを生み出していくのか、その動向が注目される。

出典: The Wrap