アリゾナ州の刑法ハラスメント規定(第13-2921条)によると、故意かつ繰り返し行われる行為で、特定の人物を対象に合理的な人が深刻な不安や屈辱、精神的苦痛を感じる可能性のある言動は、ハラスメント(クラス1軽犯罪)に該当する。

同法は、「法的なデモや集会を除く」と明記しつつ、直接的な接触や電子・電話・書面などによるコミュニケーションも対象としている。しかし、「第三者を通じた発言」がハラスメントに該当するかどうかは、これまで明確ではなかった。

アリゾナ州最高裁(2023年11月20日判決)は、元交際相手が学校関係者に対して元パートナーの悪口を言った事案で、ハラスメントに該当するとの判断を示した。判決では、「被害者に不利益をもたらす意図を持った発言は、伝達経路にかかわらずハラスメントに該当する」と解釈された。

具体的には、ブリアナ・ヘルナンデスさんが元交際相手のルイス・ロアルカさんから受けた保護命令に関する事案で、ロアルカさんが娘の学校関係者(教師・校長)に対してヘルナンデスさんの悪口を繰り返したとされた。裁判所は、「第三者を介した発言であっても、被害者に深刻な精神的苦痛を与える意図があればハラスメントに該当する」と結論付けた。

判決のポイント

  • 伝達経路の制限なし:ハラスメントは、被害者に直接伝わる発言に限らず、第三者を介した発言も対象となる。
  • 真実・虚偽を問わず事実であっても、被害者に不利益を与える意図があればハラスメントに該当する可能性がある。
  • 「合理的な人」基準一般人が深刻な不安や屈辱を感じる発言であれば、ハラスメントに該当する。

社会的影響と今後の課題

この判決は、職場や学校などで行われる「陰口」や「悪評」が法的責任を問われる可能性を示唆する。特に、事実に基づく発言であっても、相手に不利益を与える意図があれば犯罪とみなされるため、職場の風通しや言論の自由に与える影響が懸念される

専門家は、「ハラスメントの定義が拡大され、日常的な会話や意見表明が法的リスクを伴う可能性がある」と指摘。「発言の意図や文脈を慎重に判断する必要がある」としている。

「ハラスメントは、被害者に対する攻撃の手段として機能する発言であれば、伝達経路にかかわらず規制の対象となる。これは、被害者の保護を優先するための判断である。」
— アリゾナ州最高裁判所、ヘルナンデス対ロアルカ事件判決文より

出典: Reason