「去年、我々は閉鎖されるだろうと思っていた」「先月も閉鎖されるだろうと」。2024年1月、アレックス・ジョーンズは番組内で繰り返し発言し、ファンに対し111ドルの記念硬貨やジョーンズとトランプのポスターなどの販売品購入を呼びかけた。資金難に直面する中、ジョーンズは「皆さんのおかげで何度も危機を乗り越えてきた」と訴え、再び寄付を求めた。
3月には右派ストリーマーのティム・プールとのインタビューで、酩酊した様子で「インフォウォーズは来月で閉鎖される」と発言。しかし、具体的な「閉鎖」の内容は明かさなかった。その後、ジョーンズの発言は現実味を帯びつつあった。4月1日に向けた「閉鎖」の一端が明らかになったのは、風刺ニュースサイト「ザ・オニオン」が、インフォウォーズの破産管財人との間でサイトの引き継ぎ交渉に合意したと発表したためだ。
この取引は裁判所の承認が必要だが、実現すればジョーンズにとって深刻な打撃となる可能性が高い。契約では、ザ・オニオンの親会社グローバル・テトラヘドロンがインフォウォーズのウェブサイトとスタジオを6~12カ月間リースし、サイトをパロディ化することが定められている。同社CEOベン・コリンズが公開したモックアップ画像には、インフォウォーズ風のコンテンツに「尿を金に変えろ」「金を尿に変えろ」といった過激なパロディ広告が並ぶ。
長年にわたる「陰謀論」の象徴
1999年にジョーンズが設立したインフォウォーズは、当初は「ブラックヘリコプター」や「FEMA収容所」、「カエルを同性愛化させる化学物質」といった陰謀論で知られていた。やがてその影響力は拡大し、ジョーンズは「陰謀論の顔」として広く認知される存在となった。
しかし、2012年のサンディフック小学校銃撃事件(26人が死亡)を「でっち上げ」と主張したジョーンズは、テキサス州とコネチカット州で名誉毀損訴訟を起こされた。2018年以降、ジョーンズとインフォウォーズは3件の訴訟で敗訴し、計10億ドルを超える賠償判決を受けた。多くの人にとって、これは同社の即時の終焉を意味するように思われた。
破産手続きで延命を図るジョーンズ
だがジョーンズは諦めなかった。2022年、ジョーンズとインフォウォーズは連邦破産法第7章の適用を申請し、テキサス州の破産裁判所で延々と続く手続きを開始した。これまでのところ、サンディフックの遺族に支払われた金額はない。ジョーンズは破産手続きを悪用し、法廷戦術で時間を稼ぎながら資金集めを続けてきたのだ。
破産管財人はジョーンズの発言を「事実無根の主張」と一蹴したが、ジョーンズは「裁判所は我々の主張を認める」と主張し続けた。その一方で、番組内では「我々は生き残る」と繰り返し、ファンからの寄付を促していた。
ザ・オニオンによる「パロディ化」の衝撃
ザ・オニオンとの合意は、ジョーンズにとってさらなる逆風となる。同社はインフォウォーズのブランドを風刺の対象とし、サイトの運営権を一時的に掌握することで、ジョーンズの影響力を事実上奪う可能性がある。これはジョーンズの「陰謀論メディア」としての終焉を象徴する出来事と言えるだろう。
ジョーンズの運営するインフォウォーズは、これまで数々のスキャンダルや法廷闘争を乗り越えてきたが、今回の出来事はその歴史に終止符を打つのかもしれない。破産裁判所の判断が注目される。