フォルクスワーゲン・グループが2018年にクプラを独立ブランド化する決断を下した際、多くの関係者は賭けと捉えていた。しかし今や、その判断は同グループの最も賢明な戦略の一つとして評価されている。SEATが停滞する中、クプラはより若々しく斬新なモデルを次々と投入し、2024年には32万8,800台を販売。前年の24万5,700台から32.5%増と、かつての親会社を上回る実績を残した。
クプラの最新モデル「テラマー」は、フォルクスワーゲン・ティグアンをベースにしたSUVで、そのデザインは確かに魅力的だ。しかし、このモデルが本当に検討に値するのかは、慎重に見極める必要がある。特に、最上位グレードの「VZe」は、必ずしも最適な選択肢とは言えないだろう。
テラマー VZeのスペックと価格
- モデル名:2026年式 クプラ テラマー VZe
- 価格:オーストラリア市場にて77,990豪ドル(約5万6,000米ドル)~、諸費用別
- 寸法:全長4,519mm × 全幅1,860mm × 全高1,610mm
- ホイールベース:2,681mm
- 車両重量:1,940kg
- パワートレイン:1.5Lターボ直列4気筒 + 電気モーター(プラグインハイブリッド)
- 出力:268馬力(200kW)/400Nm
- 0-100km/h加速:7.3秒
- トランスミッション:6速デュアルクラッチ
- 燃費:6.2L/100km(実測37.9mpg)
- 発売時期:現在
注目すべき特徴と課題
テラマー VZeは、1.5Lターボエンジン(174馬力/250Nm)と電気モーター(114馬力/330Nm)を組み合わせたプラグインハイブリッドシステムを採用。総出力は268馬力/400Nmに達するが、前輪駆動のみという構成がネックとなっている。そのため、トルクステア(ハンドルを引っ張るような力)が発生しやすく、運転の安定性に影響を与える可能性がある。
また、エンジン音が退屈で、ブレーキフィールも不安定との指摘もある。これらは、クプラが目指す「若々しくスポーティなイメージ」とはやや乖離した印象を与える要因だ。さらに、加速性能も同シリーズ内の上位モデル「VZ」に劣る。VZは2.0Lターボエンジン(262馬力/400Nm)を搭載し、0-100km/h加速は5.9秒を記録。VZeの7.3秒と比較すると、その差は明らかだ。
オーストラリア市場における位置づけ
クプラは当初、2030年までに米国市場への参入を計画していたが、現在は計画を凍結。その一方で、オーストラリア市場では着実に成長を遂げている。同国では現在、10,000台以上のクプラ車が販売されており、電気自動車「ボーン」を除く6車種を展開。その中でもVZeは最も高価なモデルだが、その性能面での優位性は限定的だ。
テラマー VZeは、デザイン性と先進的な技術が魅力的なモデルではあるものの、実用面での課題も少なくない。購入を検討する際には、これらの点を十分に考慮する必要があるだろう。