米デルタ航空は、350マイル(約560キロメートル)未満のフライトで飲食サービスを廃止する方針を発表した。これにより、これまで250~500マイルのフライトで提供されていた「エクスプレスサービス」(水、コーヒー、紅茶、2種類のスナック)が、350マイル未満の全便で廃止されることになる。

新ルールは5月19日から実施され、約450便が影響を受ける。対象は250~350マイルのフライトで、すでに250マイル未満のフライトでは飲食サービスがなかったため、実質的な変更は250~350マイルの便に限られる。デルタによると、対象便は1日あたりのフライト全体の9%に相当し、飛行時間は1時間未満だという。

一方で、350~500マイルのフライトは「フルサービス」に格上げされ、1日あたり14%の便で提供内容が充実する。ファーストクラス利用者は、フライト距離にかかわらず引き続き飲食サービスを受けられる。

業界の経営難が背景に

デルタ航空は今回の変更について、コスト削減だけでなく「ネットワーク全体で一貫したサービス体験を提供する」目的があるとしている。同社の広報担当者は「短距離フライトでも乗務員は引き続きお客様のもとに伺い、安全と快適なサービスに注力します」とコメントしている。

背景には、中東情勢の悪化による燃料費の高騰や、航空券価格の上昇(2026年1~4月で24%増)がある。また、直近ではスピリット航空の突然の経営破綻も発表され、業界全体が厳しい状況に直面している。

他社との比較で見るデルタの判断

米主要航空会社と比較すると、デルタの基準は厳しい。ユナイテッド航空は300マイル以上、アメリカン航空は250マイル以上で飲食サービスを開始するのに対し、デルタは350マイル以上に引き上げた形だ。

デルタは、350マイル未満のフライトは通常1時間程度で、乗務員が全乗客にサービスを提供する時間的余裕がほとんどないと説明。飲食サービスを廃止することで、乗務員は安全確認や乗客の要望対応に集中できると主張している。

乗客の反応は賛否両論

ソーシャルメディア上では、デルタの決定に対する意見が分かれている。短距離フライトで飲食サービスが不要と考える乗客もいれば、サービス低下に不満を抱く声もある。

「フライトが1時間未満なら、スナックやジュースは必要ない。むしろ乗務員が安全に集中できる方が良い」
「デルタはサービスを下げる一方で、長距離フライトでは充実させるのか?矛盾を感じる」

デルタ航空は、今回の変更がコスト削減だけでなく、乗務員の負担軽減と安全性向上にもつながると強調している。