ニューヨーク市、AI特化高校の計画を中止

ニューヨーク市は、AI(人工知能)を専門とする高校「Next Generation Technology High School」の新設案を撤回した。同校はマンハッタンの金融街に2025年度の開校を予定していたが、保護者や教師、教育関係者らによる激しい反対運動を受け、市教育長のカマル・サミュエルズ氏が計画を撤回したとニューヨーク・タイムズが報じた。

保護者らの反対運動が背景に

計画の撤回に至った主な要因は、保護者らの強い反対だ。多くの保護者が、AI教育の長期的な影響や効果について懸念を示し、未検証の技術を無理に導入することに反発した。AIが短期的な記憶力の低下や批判的思考の衰退につながる可能性を指摘する研究もあり、教育関係者の間でも懸念が広がっている。

サミュエルズ氏はこうした反対を受け、市教育局に対しAIの教室利用に関するガイドラインの策定を指示したが、策定された「AIプレイブック」は具体性に欠け、批判を浴びた。これを受け、保護者や教師、学生らが市庁舎前で集会を開き、市長のザカリ・ママダニ氏に対し、AI教育の2年間の一時停止を求める嘆願書を提出した。しかし、ママダニ氏は明確な態度を示していない。

公平性の問題も浮き彫りに

AI特化高校の計画は、公平性の問題も指摘された。同校は成績に基づく選抜制を採用する予定だったが、これにより経済的に恵まれない家庭の子どもや有色人種の子どもが不利益を被る可能性があるとの懸念があった。また、同校が裕福な地域に位置していたことから、AI教育の普及を掲げる同校の理念との矛盾も指摘された。

「もしAI技術が世界的に普及するのであれば、なぜアクセスできる人を限定するのか」と、計画審議委員会の委員長であるグレゴリー・フォークナー氏は述べた。

今後の展望

サミュエルズ氏は、AI特化高校の計画を完全に廃止するわけではなく、今後再検討する意向を示している。しかし、現時点では具体的なスケジュールや方針は示されていない。

「ニューヨーク市の保護者の怒りは、私が25年間取り組んできた教育問題の中で最も強いものの一つだ」
レオニー・ハイムソン氏(教育活動家、AI一時停止連合メンバー)

「AIに関連するものであれば、どんな計画であっても強い反対がある。人々はこの技術がどのように使われるのか、非常に不安を抱いている」
グレゴリー・フォークナー氏(計画審議委員会委員長)

出典: Futurism