メディア企業家のByron Allen氏(63歳)は6月10日、米 BuzzFeed の経営権を52%取得し、新 CEO および会長に就任することを発表した。同社は財務難から破産の危機に瀕していたが、Allen氏の投資により存続が可能となった。

BuzzFeed は2024年5月時点で株価が1ドル未満で取引されており、米ナスダック市場からの上場廃止リスクに直面していた。同社は2023年にも同様の警告を受け、株価維持のために株式分割(逆スプリット)を実施していた。さらに、高額な負債と収益の減少が経営を圧迫していた。

取引の概要と今後の体制

取引の詳細は以下の通り:

  • Allen氏は家族経営のデジタル投資会社「Allen Family Digital」を通じて株式を取得。同社は4000万株を1株当たり3ドルで購入し、総額1億2000万ドルの投資となる。
  • 内訳は、2000万ドルが現金で支払われ、残りの1億ドルは5年満期の約束手形で、年利5%の金利が付く。
  • 取引完了後、Allen氏はBuzzFeed の CEO および会長に就任。同社の創業者で長年 CEO を務めたJonah Peretti氏は、新設ポスト「BuzzFeed AI 社長」に異動する。

Peretti氏は声明で、「コスト削減を含む大幅な経営改革を実施中であり、Allen氏の経営参画と投資により、BuzzFeed 社の流動性と運営体制が強化される」と述べた。

BuzzFeed の再編計画

同社は食品系ソーシャルメディアブランド「Tasty」と映像制作部門「BuzzFeed Studios」新たな独立会社として分社化する計画を発表。これにより、Tasty のソーシャルメディア事業と BuzzFeed Studios の動画・映画制作事業が切り離される。

また、Peretti氏の新役職「BuzzFeed AI 社長」については詳細が明らかにされていないが、AI 関連事業の強化が期待される。

株式時価総額の激減と Allen氏の経歴

BuzzFeed の株式時価総額は、取引当日の73セント/株を基に算出すると約2800万ドルに過ぎない。かつて同社は2016年に NBCUniversal から2億ドルの出資を受け、17億ドルの企業価値と評価されていたが、現在はかつての栄光を失いつつある。

Allen氏はメディア資産の買収に積極的で、これまでにParamount Global、BET、Tegnaなどの大手メディア企業の買収を目指したが、いずれも実現しなかった。一方で、CBS の深夜番組枠を買収し、Stephen Colbert 降板後の穴埋めに自社番組を投入するなど、着実に事業を拡大している。

市場の反応と今後の展望

市場関係者は Allen氏を機敏な経営者と評価する一方で、大規模買収への懐疑的な見方も示していた。BuzzFeed はかつてデジタルメディアの雄と称されたが、現在はかつての価値のごく一部で売却されることとなった。

今後、Allen氏の経営手腕が BuzzFeed の再建にどれほど効果を発揮するかが注目される。

出典: Axios