米国最高裁判所が下したルイジアナ州対カレー判決により、1965年の投票権法の最後の条項が事実上廃止された。同判決の主文はサミュエル・アリート判事が執筆したが、その背後にはジョン・ロバート最高裁長官の40年以上に及ぶ戦略があった。
ロバート長官が率いる最高裁は、これまでに3度にわたり投票権法を骨抜きにしてきた。ロバート長官はその全ての判決に署名するか、あるいは関与しており、これは偶然ではない。ロバート長官は1980年代から投票権法の廃止を目指しており、今回の判決でその目標を達成したとみられる。
ロバート長官の投票権法への敵対姿勢は、1982年に司法省の公民権局で弁護士を務めていた当時から明確だった。当時、ロバート長官は投票権法の拡大を阻止するための戦略を練り、その後の判事、そして最高裁長官としてのキャリアを通じて、その方針を一貫して推し進めてきた。
今回のルイジアナ州対カレー判決では、投票権法第2条に基づく差別是正措置の適用が大幅に制限された。これにより、人種差別的な選挙区割りが再び可能になるとの懸念が広がっている。選挙区の再編や投票権の制限が今後さらに進む可能性があり、公民権団体は強い警戒感を示している。
ロバート長官の投票権法への取り組みは、1985年に発表した論文「投票権法の将来」で既に示唆されていた。同論文では、投票権法が「憲法の原則に反する」と主張し、同法の廃止を提言していた。その後、ロバート長官は判事、そして最高裁長官として、その主張を実現するための法廷闘争を続けてきた。
今回の判決を受け、民主党や公民権団体は、議会による法改正や憲法修正を通じて投票権を保護するための対応を迫られている。しかし、議会の党派対立が激化する中で、具体的な対策が実現するかは不透明だ。
ロバート長官の投票権法への取り組みは、米国の選挙制度と民主主義の根幹に関わる重大な問題だ。今後、同法の廃止が選挙の公平性や代表制に与える影響について、さらなる議論が必要となるだろう。