米上院銀行委員会の議員らが、暗号資産規制法案「Digital Asset Market Clarity Act(デジタル資産市場明確化法)」に対し、100以上の修正案を提出した。 Politicoによると、同委員会は5月15日(木)午前10時30分、ワシントンD.C.のDirksen Senate Office Building 538号室で審議を開催し、修正案の審議と採決を行う予定だ。採決が可決されれば、法案は本会議に送られる見通しだ。
先週発表された改訂版法案は309ページに拡大され、1月に提案された278ページから大幅に加筆された。民主党議員を中心とした反対派は、特に上院議員エリザベス・ウォーレンが40以上の修正案を単独で提出するなど、強硬な反対姿勢を示している。1月に予定されていた審議では137の修正案が提出されたが、審議は中止された。今回も同様の激しい議論が予想される。
ステーブルコイン利回り商品を巡る攻防
法案を巡る最大の争点は、ステーブルコインの利回り商品(保有者にリターンを提供する暗号資産)の取り扱いだ。銀行業界は、こうした商品が伝統的な預金基盤を脅かすと主張する一方、暗号資産業界は報酬プログラムが流動性と顧客活動を支援すると反論している。
米国銀行協会(ABA)は先週金曜日から8,000通以上の書簡を上院事務所に送付し、上院議員トム・ティリスとアンジェラ・アルソプロークスが仲介したステーブルコイン利回りに関する妥協案に反対を表明した。この妥協案では、ステーブルコイン発行者が受動的な保有者に対して利息や利回りを支払うことを禁止しつつ、プラットフォーム取引や支払い活動に紐づく報酬は例外として認めている。
これに対し、上院議員ジャック・リードとティナ・スミスは、従来の利息付預金口座に類似したリターンを提供する商品をさらに厳格に規制する修正案を提出した。銀行業界は、現行の妥協案でもステーブルコインプラットフォームが高利回り預金商品を模倣できると主張し、銀行と同等の規制要件を満たす必要性を訴えている。
倫理規定と開発者保護の行方
上院議員クリス・ヴァン・ホレンは、政府高官とその家族による暗号資産関連事業の保有や宣伝を禁止する修正案を提出した。民主党は、トランプ前大統領の暗号資産業界との関係を踏まえ、この規定を譲れないと主張している。共和党側は倫理規定が法案成立に必要な連合を分断しかねないと警戒しており、対立が深まっている。
一方で、法案の改訂版には既に、非保管型開発者がマネー・トランスミッター(資金移動業者)に分類されることを防ぐ条項が盛り込まれており、過去の行為についても遡及的に保護される見通しだ。
法案の行方と業界への影響
「CLARITY Act(明確化法)」として知られる同法案(正式名称:H.R. 3633)は、2025年7月17日に下院で294対134の超党派投票で可決されたものの、上院では2度の中止された審議とステーブルコイン交渉の長期化により停滞していた。法案の主な目的は、暗号資産に関する規制当局の管轄権を明確化し、業界の発展を支援することだ。しかし、民主党と共和党の対立が激化しており、木曜の審議が業界の将来を左右する重要な局面となる見通しだ。