暗号トレーダーが年間8,700%の手数料を支払う異常事態
暗号資産(暗号通貨)のレバレッジ取引で、AI企業Anthropicの評価額に対する合成ポジションを保有するトレーダーが、年間8,700%に相当する手数料を支払っていたことが明らかになった。時には1時間で1%の資金コストが発生し、年間で数千%に膨れ上がる異常な状況が浮き彫りになった。
Anthropicの時価総額1兆ドル超に対するレバレッジ取引
Anthropicは未上場ながら時価総額1兆ドル超との推定が流れるAI企業で、暗号取引所HyperliquidではUSDH建ての合成契約が提供されていた。しかし、この契約は実態のあるAnthropic株を反映するものではなく、複雑な仕組みと曖昧な利用規約が隠されたリスクを覆い隠していた。
通常、株式の空売りでは証券会社に貸株料を支払うが、暗号取引では逆に買いポジションを取るだけで高額な資金コストが発生するという逆転現象が起きていた。特に週末には、資金コストが1.5%/時を超え、年間に換算すると5桁の手数料に相当する異常な状況となった。
Hyperliquidの契約仕組みとリスクの実態
HyperliquidのANTHROPIC契約は、Notice社の推定評価額に基づく合成ポジションで、実態の株価とは乖離した価格で取引されていた。また、USDHと呼ばれる「ステーブルコイン」とされる暗号通貨は、実際には0.72ドルから1.11ドルの間で取引されており、安定性に疑問が残る状態だった。
さらに、契約の清算価格とNotice社のオラクル価格の乖離が資金コストを押し上げ、ロングポジション保有者はショート勢に高額な資金決済を支払う仕組みとなっていた。2日間でポジションの15%に相当する資金が失われるケースもあり、実質的な損失は計り知れない。
「暗号トレーダーが8,700%もの資金コストを支払ってまでAnthropicの未公開株にエクスポージャーを得ようとしている。理解できなくてもクリックするだけで買える仕組みが問題だ」
— Ramen (@Ramen_HL)
時価総額88兆ドルの期待値?
一部のトレーダーは、Anthropicの時価総額が1年以内に88兆ドルに達するとの期待を込めてレバレッジ取引を行っていた。しかし、これはNVIDIAの時価総額(5.2兆ドル)の17倍以上に相当し、現実離れした数字だった。
Hyperliquidの契約は、Ventualsと呼ばれる仕組みを利用しており、実態の株価ではなく推定評価額に基づく合成ポジションだった。このため、実際のAnthropicの株価動向とは乖離した価格形成が行われていた。
利用規約の曖昧さとリスクの隠蔽
契約の詳細な利用規約はオフページに記載されており、多くのトレーダーがその内容を理解せずに取引を行っていた。また、資金コストの上限は1%ではなく4%/時と設定されており、極端な状況では5桁の手数料が発生する可能性があった。
このような仕組みは、一般の投資家にとって極めてリスクが高く、理解しにくいものとなっている。暗号資産市場のレバレッジ取引が抱える構造的な問題が浮き彫りになった事例と言える。
まとめ
暗号トレーダーがAnthropicの評価額に対するレバレッジ取引で年間8,700%に相当する手数料を支払っていたことが判明。実態のない合成ポジションや曖昧な利用規約、高額な資金コストなど、暗号資産市場特有のリスクが顕在化した。投資家はこうした仕組みのリスクを十分に理解する必要がある。