米国アラバマ州シルバーヒル在住のレオナルド・ガルシア・ベネガスさん(26歳)は、5月2日の朝、自宅近くのコンビニエンスストアから帰宅中、無人車両に追跡されていることに気づいた。自宅前にトラックを停めると、移民当局者が近づき、運転席のドアを開けようとした。

ガルシアさんは民事訴訟の一環として提出された宣誓供述書で、 agentes(執行官)が車から引きずり出し、地面に押し倒した上、手足を拘束したと証言した。ガルシアさんによると、米国移民税関執行局(ICE)の職員と地元警察官を含む7~8人の法執行官が現場におり、その多くは私服でタクティカルベストを着用していたという。彼らはガルシアさんに一切質問せず、アラバマ州のSTAR ID(身分証明書)を提示し米国市民であることを示そうとしたが、無視された。その後、車内に監禁され、出生地について尋問された後、財布を捜索された。ガルシアさんは自宅にあった米国パスポートを提示しようとしたが、拒否された。数分後、解放されたが、その直前に犬を使った薬物捜索がトラックで行われたという。

執行官らは、トラックが登録名義人の兄(不法滞在者)の所有であることを理由に停止したとガルシアさんに伝えた。ICEは取材に対し、コメントを拒否した。

繰り返される不当拘束と精神的苦痛

今回の拘束は、ガルシアさんにとって3度目の出来事だった。裁判所書類によると、ガルシアさんはこれまで2度、ICEによる建設現場への強制捜査で拘束された経験があり、いずれも米国市民であることを証明した後、解放されていた。しかし今回の拘束は、ガルシアさんに深刻な精神的苦痛と不安を与えた。

「私は日常生活を送るだけなのに、根拠のない拘束に怯えながら暮らしています。平穏な生活を送りたいだけなのに」
—— レオナルド・ガルシア・ベネガス

トランプ政権下では、米国市民であっても移民取り締まりの対象となるケースが相次いでいる。ガルシアさんのような不当拘束は珍しいが、唯一の事例ではない。昨年の調査によると、トランプ政権2期目最初の9ヶ月間で、少なくとも170人の米国市民が移民当局により拘束されたという。ガルシアさんも昨年9月、政府を相手取り訴訟を起こした。

「普通の市民が平穩な生活を送れない現実」

ガルシアさんの代理人を務める公民権団体「Institute for Justice」の弁護士ジャレッド・マクレーン氏は、次のように語った。

「レオはごく普通の市民で、静かに平穏に暮らしたいと願うだけの人です。仕事に行き、 honest living(誠実な生活)を送りたいのに、移民取り締まりのやり方によって、自由にそれをできなくなっています」

ガルシアさんの最初の拘束は、2024年1月に発生した。当時、彼は建設現場で働いており、ICEの捜査隊に取り囲まれた。当時の状況について、ガルシアさんは「まるで犯罪者扱いされた」と振り返る。2度目の拘束は同年3月、別の建設現場で起きた。いずれのケースでも、ガルシアさんは米国市民であることを証明したが、今回のような精神的ダメージは計り知れない。

法廷闘争へ、そして今後の展望

ガルシアさんの訴訟は、移民当局による不当な拘束の責任を問うものだ。彼の弁護団は、米国憲法が保障する権利の侵害を主張しており、政府の対応が恣意的かつ不当であったと指摘している。

米国では、移民政策の厳格化が進む中、米国市民であっても不当な扱いを受けるリスクが高まっている。ガルシアさんのケースは、その象徴的な事例の一つといえるだろう。今後、裁判を通じて、どのような判決が下されるのか、注目を集めている。