2017年8月、バージニア州シャルロッツビルで開催された「 Unite the Right 」集会では、反対派のデモ隊との衝突により1人が死亡し、多数の負傷者が出た。この事件を受け、多くのアメリカ市民自由人権協会(ACLU)メンバーが、バージニア支部の行動を批判した。同支部は、白人至上主義者の表現の自由を擁護していたのだ。

当時、ACLUバージニア支部理事だったウォルド・ジャキスは、辞任を表明。スレート誌のダリア・リトウィックとのインタビューで、ジャキスは「ACLUはどの案件を扱うか選択できる」と述べた。さらに「第二修正権に関わる案件は扱わない。これはACLUが擁護を望まない権利の一つだ」と語った。当時、この発言は当然のものと受け止められた。ACLUは長年、第二修正権が個人の銃所有権を保障しているとは考えていなかったからだ。

しかし、それからわずか8年足らずで、ACLUは方針を転換。最高裁に対し、第二修正権の擁護を求める意見書を提出したのだ。その対象となったのが、テキサス州在住のアリ・ヘマニ被告の事件だった。

ヘマニ事件とACLUの立場転換

ヘマニ被告は、拳銃の所持と大麻の常用を認めていた。これにより、連邦法18 U.S.C. § 922(g)(3)に基づく不法所持の罪に問われていた。同法は、「規制物質の不法使用者」による銃器の所受・所持を重罪としている。

ACLUはヘマニの弁護団に加わり、最高裁に提出した意見書で「第二修正権は、政府が同法を根拠にヘマニを起訴することを禁じている」と主張した。ACLUの刑事法改革プロジェクト責任者ブランドン・バスキーは、「今回の事件は、第二修正権を主張する個人に対し、ACLUが積極的に関与した初めてのケースだ」と述べた。さらに「最高裁が第二修正権を基本的人権と認めた今、これは重要な市民的自由の問題と捉えている」と語った。

ACLUのヘマニ事件における立場は、全米ライフル協会(NRA)と同じ側に立つことを意味する。両団体が最高裁で銃規制に関する案件で共闘するのは、これが初めてだ。この点について、ACLUの歴史的な主張との整合性が注目される。

ACLUの歴史的主張と変化の背景

ACLUはこれまで、第二修正権を「集団的権利」と位置付けてきた。2008年の「 District of Columbia v. Heller 」判決で最高裁が個人の銃所有権を認めた後も、同団体は立場を変えなかった。ACLUのウェブサイトには、2023年12月まで「第二修正権は『規律ある民兵』や『自由国家の安全』に関連する集団的権利を保障している」との見解が掲載されていた。

しかし、近年の最高裁判決や社会情勢の変化を受け、ACLUは第二修正権の擁護に転換した。2024年の「 National Rifle Association v. Vullo 」事件では、NRAの表現の自由を擁護する意見書を提出。今回のヘマニ事件では、銃規制法の合憲性を争う立場を示した。

この変化について、バスキーは「市民的自由の保護は、時代とともに進化する。最高裁の判断が、私たちの立場に影響を与えている」と述べた。ACLUの方針転換は、銃規制をめぐる議論に新たな視点をもたらすだろう。

ACLUとNRAの共闘の意義

ACLUとNRAは、これまで対立することが多かった。しかし、ヘマニ事件では、両団体が第二修正権の擁護で一致した。これは、銃規制をめぐる議論が、単なる党派的な対立ではなく、基本的人権の保障という観点から捉え直されるきっかけとなる可能性がある。

今後、ACLUが第二修正権の擁護にどのような影響を与えるのか、注目が集まる。

出典: Reason