米国のガソリン価格が再び高騰する中、連邦ガソリン税の一時停止を求める政治的議論が再燃している。背景には、民主党議員らによるポピュリスト的な提案が相次いでいることがある。

議会が連邦ガソリン税(1ガロン当たり18.3セント)とディーゼル税(同24.3セント)の一時停止を承認すれば、消費者への負担軽減につながる可能性がある。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻以降のガソリン価格上昇(約1.50ドル/ガロン)を完全に相殺するには程遠い。

価格上昇の現状と試算

米国自動車協会(AAA)によると、5月23日現在の全米平均ガソリン価格は1ガロン当たり4.46ドルに達しており、さらなる上昇が見込まれている。

4月下旬に実施された調査では、連邦ガソリン税の一時停止により、小売価格が1ガロン当たり9~14%下がる可能性が示された。ただし、供給業者が一部を吸収するため、その恩恵は全額消費者に還元されるわけではない。

政治的な動きと実現可能性

テキサス州の民主党上院議員候補ジェームズ・タラリコ氏は4月に、ガソリン税とディーゼル税の一時停止を提案。アリゾナ州のマーク・ケリー上院議員(次期大統領候補の有力視される)も3月に同様の法案を提出している。

エネルギー専門シンクタンク「ラピダン・エナジー・グループ」は、議会がガソリン税の一時停止に踏み切る可能性を25%と見積もる。同社のエネルギー政策責任者グレン・シュワルツ氏は、エネルギー市場の混乱が長期化し価格が上昇し続けるほど、その確率は高まると指摘する。

「現時点では、エネルギー市場の短期的な混乱を緩和するための方策を検討しているが、ガソリン税の一時停止は考慮されていない」
— ホワイトハウス高官

財源不足と長期的な課題

連邦燃料税は、高速道路信託基金(Highway Trust Fund)の主要な財源であり、道路や交通インフラの維持・拡張に充てられている。しかし、電気自動車の普及や燃費効率の向上により、基金への税収は年々減少傾向にある。

「バイパーティisan Policy Center」の試算によると、ガソリン税とディーゼル税の5ヶ月間の一時停止により、基金の収入は170億ドル減少し、2026年度の税収見込みの46%に相当する損失が生じる。これにより、連邦政府の財政赤字は120億ドル増加すると予測される。

ジョージア州やインディアナ州では、州レベルで燃料税の一時停止が実施されたことがあるが、その効果は一時的なものにとどまっている。

今後の展望

ガソリン税の一時停止は、消費者への即時的な負担軽減策として注目を集めているが、インフラ整備の財源不足や長期的な財政への影響といった課題も抱えている。議会がどのような判断を下すのか、今後の動向が注目される。

出典: Axios