コインベース、従業員14%削減を発表 AI活用で業務効率化
米暗号資産取引所の大手コインベースは2026年1月、従業員の14%に相当する約693人を削減すると発表した。CEOのブライアン・アームストロング氏は、この決定を「暗号資産市場のサイクルに左右されない、AIを活用した新しい働き方への移行」と位置づけ、市場環境の悪化に対する防衛策ではないと強調した。
AI活用でエンジニアの生産性が大幅向上
アームストロング氏は社内メールで、エンジニアがAIツールを活用することで、従来のチーム体制では数週間かかっていた業務を数日で完了できるようになったと説明。その加速度は今後も衰えず、組織の再編が必要になったと述べた。同社の従業員数は2025年12月末時点で4,951人だったため、削減対象は693人に上る見込みだ。
解雇従業員への補償内容
米国在住の従業員には、基本給の16週間分に加え、勤続年数に応じた2週間分の追加支給、未行使の株式報酬の次回 vesting(権利確定)、COBRA健康保険の6ヶ月間継続が保証される。また、就労ビザ保持者には特別な移行支援が提供されるという。
システムアクセスは発表当日に即時停止されたが、アームストロング氏は「顧客データ保護の観点からやむを得ない措置」と正当化した。
過去2回の大規模リストラとの違い
今回の削減は、2022年と2023年に実施された2度の大規模リストラとは性質が異なる。2022年6月には暗号資産価格の下落と景気後退懸念を背景に18%の従業員(1,100人)を削減。2023年1月にはFTXの破綻と長期的な市場縮小を受け、20%の従業員(950人)を削減した。合わせて2,100人以上の削減となったが、いずれもアームストロング氏は「会社の強化に向けた痛み」と位置づけていた。
これに対し、2026年の再編は「AI駆動の業務改革」が目的だ。アームストロング氏は、GitHub CopilotやCursorなどのAIツール導入を拒否したエンジニアを解雇したほか、社内のコードの50%をAIで生成する目標を掲げている。同氏は「AIが少人数チームの生産性を向上させるなら、大規模なチームは逆にパフォーマンスの足かせになる」と主張する。
組織のフラット化と「AIネイティブ」なチーム編成
今回の再編では、CEOとCOOの下の階層を5層以内に抑える「フラット化」が進められる。また、全てのリーダーに個別の貢献業務(いわゆる「プレイヤーコーチ」モデル)が求められる。従来の部門別編成に代わり、エンジニアリング・デザイン・プロダクトの機能を統合した「AIネイティブな小規模チーム」が導入され、中には1人で全てを担うチームも実験的に編成されるという。
株価は低迷、AI活用で競争力強化を目指す
コインベースの株価(COIN)は現在、2024年後半のピーク時の水準を大きく下回る210ドル前後で推移している。同社は今回の再編を通じて、AI活用による業務効率化と競争力強化を図る構えだ。
なお、この記事はBitcoin Magazineに掲載されたものを再編集したものです。