米国市場への中国技術導入を模索していたフォード
フォード・モーターと中国自動車大手のジーリー(吉利汽車)は、米国市場への中国自動車技術導入に向けた交渉を行っていたことが明らかになった。しかし、中国自動車メーカーに対する米国の政治的圧力が強まる中で、両社の協議は行き詰まっている。
フォードは公式に、ジーリーの技術を米国で活用することは自社の方針に反すると主張している。その一方で、両社は現在、欧州市場での協力に焦点を当てており、実現すれば大西洋を挟んだ協力関係となる可能性がある。
ジーリーの技術活用計画が頓挫
米国の報道機関「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」によると、米国市場への技術導入に関する協議は1年以上前から始まっていた。具体的には、ジーリーがフォードに技術ライセンスを供与する案や、フォードがジーリーの車両プラットフォーム(車両の基盤構造)を活用する案が検討されていたという。
関係者によると、この計画は「米中自動車産業の歴史的な提携」となる可能性があった。しかし、米国の政治的圧力が強まる中で、両社の交渉は事実上中断した。現在は、欧州市場での協力にシフトしつつある。
ジーリーのグローバル戦略と米国市場への野望
ジーリーは中国第2位の自動車メーカーであり、ボルボ・カーやポレスターなどのグローバルブランドを傘下に持つ。さらに、今年初めに開催されたCES 2024では、電気自動車「ギャラクシーM9」を出展し、米国市場への進出意欲を示していた。
その一方で、フォードはここ1年で中国自動車メーカーを「世界自動車産業にとって最大の脅威」と度々発言してきた。CEOのジム・ファーリー氏は、中国製車両が米国市場に流入する前に対策を講じる必要性を強調している。
フォードの広報担当者はWSJに対し、中国自動車メーカーに「米国市場への参入の足がかりを与える」ことはフォードの方針に完全に反すると述べた。同社の「国内市場保護に対するコミットメントは絶対的なものだ」としている。
欧州市場での協力にシフト
現在は、両社の協力は欧州市場に焦点が移っている。ジーリーはフォードのスペイン・バレンシア工場を活用し、中国からの輸入関税を回避しながら生産を拡大する計画だ。一方で、米国市場は依然として政治的・経済的な課題が山積している。
フォードにとって、中国技術の脅威を公言しながらも、その技術を活用する可能性を検討していたという事実が、中国の技術力に対する米国自動車産業の危機感を浮き彫りにしている。