軍は違法命令に従わない:ヘグセス国防長官の過去の発言が波紋を呼ぶ

米国防長官ピート・ヘグセス氏は、自身の軍事倫理に関する過去の発言が、現在の立場と矛盾する事態に直面している。4月29日に開催された下院軍事委員会の公聴会で、ニューハンプシャー州選出の下院議員マギー・グッドランダー氏は、統合参謀本部議長のダン・ケイン将軍に対し、「軍は違法命令に従わない」という原則に同意するか尋ねた。

ケイン将軍は即座に「同意します」と回答。これに対し、ヘグセス氏は「違法命令には従わない」という原則に異議を唱えようとしたが、グッドランダー議員から「これはあなたの2016年の発言を引用しています」と指摘された。

「議員が示唆しているのは党派的な主張ではありません。2016年4月12日に公の場で発言されたあなたの言葉を引用しているのです」
— マギー・グッドランダー議員

ヘグセス氏は当時、戦争犯罪に対して「結果が伴わなければならない」と述べ、軍が指揮官からの違法命令に従わないという原則を支持していた。CNNが当時の映像を発掘し、その発言が明らかになった。

ヘグセス氏の立場の変遷と矛盾

ヘグセス氏の軍事倫理に関する見解は、この10年間で大きく変化した。昨年11月には、民主党所属の6人の議員(退役軍人や元国家安全保障専門家を含む)が、軍と諜報機関に対し「違法命令を拒否することができる、そしてしなければならない」との声明を発表した。この声明は、ヘグセス氏の過去の発言を踏襲する内容だったが、トランプ前大統領の名前には直接触れていなかった。

これに対し、トランプ前大統領はソーシャルメディアで「処刑すべきだ」と発言し、強い反発を示した。ヘグセス氏もまた、民主党議員のマーク・ケリー上院議員を名指しで批判し、ケリー氏に一般市民と同等の表現の自由を認めるべきではないと主張したが、裁判所はこれを退け、2月に訴訟は棄却された。

軍の倫理と政治的責任の狭間で

ヘグセス氏の発言は、軍の倫理と政治的忠誠心の狭間で揺れ動く米国防総省の現状を浮き彫りにした。軍が違法命令に従わないという原則は、軍事倫理の根幹をなすものだが、ヘグセス氏の立場の変化は、この原則が政治的圧力によって揺らぎつつあることを示唆している。

今後、軍の倫理と政治的責任のバランスをいかに保つかが、米国防総省にとっての重要な課題となるだろう。