ルイジアナ州選挙区割り訴訟で最高裁が投票権法の適用を制限
米国最高裁判所は6月27日、投票権法(Voting Rights Act)の適用範囲を大幅に狭める判決を下した。ルイジアナ州の選挙区割りを巡る訴訟「ルイジアナ州対カレー事件」で、最高裁は6対3の判決により、多数派黒人地区の設置を「違憲の人種操作」と認定した下級審の判断を覆した。
人種差別の立証基準を厳格化
ルイジアナ州では2022年、黒人有権者の投票力を過小評価しているとして選挙区割りの変更が提訴された。連邦地裁はこれを認め、州は黒人有権者が多数を占める選挙区を新設したが、別の有権者グループが今度はこの選挙区が「違憲の人種操作」にあたると訴えた。最高裁はこれを支持し、判事らは投票権法の適用条件を「州が選挙区を意図的に人種に基づいて区分けし、少数派有権者の機会を奪う場合に限定される」と解釈した。
多数意見をまとめたアリト判事は、「投票権法は人種に基づく差別が意図的かつ客観的に立証された場合にのみ適用されるべきだ」と強調。一方でカガン判事は反対意見で、「州の行為が人種中立であっても、その結果として人種差別が助長される場合は規制が必要だ」と主張したが、最高裁はこれを退けた。
今後の選挙区割り訴訟に与える影響
この判決により、投票権法に基づく選挙区割り訴訟は今後、人種差別の「意図的証明」が求められる厳格な基準が適用される。これにより、人種バランスを考慮した選挙区割りの見直しが困難になる可能性が高い。専門家らは、この判決が米国の選挙制度に長期的な影響を与えると指摘している。
宗教団体の寄付者情報開示要求を巡る判決
最高裁は同日、宗教団体「First Choice Women's Resource Centers」がニュージャージー州司法長官による寄付者情報の開示要求に対し、表現の自由(第1修正)に基づく訴えを起こした事件でも判決を下した。同団体は中絶反対の妊娠カウンセリングを行う非営利団体で、州当局は2023年に寄付者名簿の提出を求める召喚状を発行していた。
寄付者の表現の自由を初認定
連邦地裁は当初、召喚状自体は法的損害にあたらないとして訴えを却下したが、最高裁はこれを覆し、全会一致で団体側の主張を認めた。ゴーサッチ判事は判決文で、「法的損害は物理的損害や金銭的損失に限定されない。表現の自由が侵害される可能性がある場合も含まれる」と指摘した。
この判決は、寄付者の匿名性を保護する重要な先例となり、宗教団体や政治団体の活動に与える影響が注目される。専門家らは、今後同様の訴訟で寄付者の表現の自由がより強く保護される可能性があると分析している。
専門家「選挙の公平性と表現の自由に影響」
「今回の2つの判決は、選挙の公平性と表現の自由のバランスに大きな変化をもたらす。特に投票権法の厳格な解釈は、少数派有権者の選挙権保護に関わる今後の訴訟に大きな影響を与えるだろう」
選挙法専門家、マーク・ジョーンズ教授(テキサス大学)