チームスターが大統領候補推薦を取りやめ、トランプ政権の労働政策に反旗

2024年9月、全米トラック運転手組合(チームスター)が大統領候補への推薦を取りやめるという異例の判断に出た。これは1992年以来初めての出来事であり、トランプ政権が労働者の権利を抑圧し続けていることを象徴する動きだった。

チームスターのショーン・オブライエン議長は、前月に開催された共和党全国大会で演説の機会を与えられたが、その後の労働長官人事で、オブライエンが支持した候補者が汚職の疑いで辞任に追い込まれるという皮肉な結果となった。

汚職のレガシーを残した労働長官、辞任へ

チームスターが推薦を取りやめた背景には、トランプ政権の労働政策に対する強い不満がある。トランプは第一期政権で労働権を抑圧し、第二期でもその方針を継続していた。

オブライエン議長の支持を受け、労働長官に指名されたのが、元オレゴン州下院議員のロリ・チャベス=デレマーだった。しかし、彼女は汚職疑惑にまみれた人物であり、9月23日には閣僚交代の波に飲まれる形で辞任に追い込まれた。

彼女の辞任により、トランプ政権の閣僚交代は止まらない。これまでに国土安全保障長官のクリスティ・ノーム、司法長官のパム・ボンディも相次いで辞任しており、チャベス=デレマーはその中でも特に注目を集めなかった存在だった。労働長官という職務の性質上、一般の注目を浴びる機会が少なかったためだ。

労働組合からの期待と裏切られた支持

当初は、労働組合からの支持も得ていたチャベス=デレマーだったが、その期待は裏切られることとなった。AFL-CIOのリズ・シューラー議長は、彼女がPRO法(労働者の権利保護法)の共同提案者の一人であり、公務員労働者の交渉権を保護する法案にも賛同していたことを評価していた。

しかし、彼女の支持基盤は広がらず、共和党内でも「彼女は労働組合寄り」との批判があった。アラバマ州選出の上院議員トミー・タバービルは「彼女は労働組合寄りだ」と発言し、後にアラバマ州知事選に出馬する際には、彼女の支持を得られない可能性を示唆していた。

トランプ政権への忠誠を示したチャベス=デレマー

上院の承認審議では、チャベス=デレマーはPRO法への支持を曖昧にし、特に州の「労働権法(リグハット法)」を廃止する重要な条項については明確に反対した。また、最低賃金の引き上げに関しても明確な立場を示さなかった。これはトランプの態度を伺った結果とみられる。トランプは2016年の選挙戦で最低賃金に関する矛盾した発言を繰り返し、在任中には連邦政府の請負業者に対する最低賃金引き上げを阻止していた。

最終的に、チャベス=デレマーの承認に反対した共和党議員はわずか3人であり、タバービル議員も承認に賛成した。彼女は労働長官として、バイデン政権下の平均2万1000件だった賃金・時間違反の是正措置を1万7000件に減らすなど、労働基準の執行を緩和した。特に「低賃金・高違反業種」に対する是正措置は、バイデン政権下の平均842件から649件に減少した。

共和党の労働長官は、民間企業の負担を軽減するために執行を緩和することが期待されており、トランプが彼女の実績を評価したかどうかは定かではないが、いずれにせよ彼女は辞任に追い込まれた。

トランプ政権の閣僚交代、汚職の連鎖続く

チャベス=デレマーの辞任により、トランプ政権の閣僚交代は止まらない。史上最も腐敗した政権とされるトランプ政権では、閣僚の汚職が相次いでおり、その責任はますます問われている。

チームスターの動きは、トランプ政権の労働政策に対する労働組合の強い不満を示すものであり、今後の政治動向に大きな影響を与える可能性がある。