米連邦当局は5月15日、元FBI長官ジェームズ・コミー氏がインスタグラムに投稿した写真が、米大統領への殺害脅迫にあたるとの容疑で起訴した。同投稿は、貝殻が「86 47」と読めるように並べられた画像であったという。

起訴状によると、コミー氏は「故意に米国大統領の生命を奪う意図を示し、身体的危害を加える脅迫を行った」とされ、連邦法18 U.S.C. § 871(a)および§ 875(c)に違反した疑いがかけられた。

「86 47」の表現は脅迫と解釈されるのか?

コミー氏の弁護側や専門家らは、この表現が一般的に暴力を示唆するものではないと主張している。英オックスフォード英語辞典によると、「86」は主に「追い出す」「拒否する」といった意味で使用される俗語であり、暴力的な文脈で用いられることは稀だという。

具体的な用例としては、バーやレストランで客を追い出す際に使われる「86」という表現が挙げられる。例えば、1942年の新聞記事では「酔客が暴れ始めたら、86(追い出す)」と記載されている。また、1963年の小説では「お前を86(追い出す)ぞ」といった使われ方がされている。

コミー氏の投稿に関しても、同様の文脈で解釈される可能言語であり、暴力的な意図を示すものではないとの見方が強い。

表現の自由と「真の脅迫」の基準

米国の表現の自由を巡る判例では、「真の脅迫」と認定されるためには、その発言が「合理的な受け手にとって暴力を示唆するもの」と解釈される必要があるとされている。2023年の最高裁判決「Counterman v. Colorado」でも、単に不快な発言であっても、それが暴力を示唆するものでなければ処罰の対象にならないとの判断が示されている。

コミー氏の投稿についても、同様の基準が適用される可能性が高く、専門家らは「この起訴は法的根拠が薄弱であり、却下される可能性が高い」と指摘している。

今後の見通し

現在のところ、コミー氏側の正式な反論は発表されていないが、弁護団はこの起訴に対し、表現の自由の観点から強く反論する構えを見せている。今後、裁判が進むにつれて、この事件が米国の言論の自由と脅迫の境界線を巡る重要な判例となる可能性もある。

出典: Reason