最高裁、ミフェプリストンの郵送処方を一時的に容認

米国最高裁判所は5月6日、中絶薬ミフェプリストンの遠隔診療・郵送処方を認めるFDA(米食品医薬品局)の規則を一時的に復活させた。アリト判事が下した決定により、テキサス州第5巡回区控訴裁判所が先週発表した全国的な処方阻止命令が停止された。これにより、医療機関や患者らは混乱を回避するための代替策を急遽検討していた。

米国では中絶の6割以上が薬剤による処方で行われており、そのうち約3割が遠隔診療を通じた処方だ。今回の最高裁の決定は、少なくとも5月13日まで有効となる。

ルイジアナ州の訴訟が引き金に

ルイジアナ州は昨年9月、バイデン政権が2023年に導入した遠隔診療・郵送処方ルールについて、FDAが「恣意的で専断的」かつ政治的動機に基づく決定だと主張し、提訴していた。同州は全米的な処方差し止め命令と、対面処方の義務化を求めていた。

テキサス州第5巡回区控訴裁判所は5月3日、ルイジアナ州の主張を認め、遠隔診療・郵送処方を全国的に禁止する命令を発令。しかし、この命令は5月6日に最高裁によって一時停止された。控訴裁判所は「ルイジアナ州の胎児保護法を損ない、ミフェプリストンの副作用による医療費負担が生じる」と主張したが、最高裁はこれを退けた。

アリト判事の判断と背景

アリト判事は、ミフェプリストン製造会社のダンコ・ラボラトリーズとジェネリック医薬品メーカーのジェンバイオプロが申請した緊急申立てを認め、5月13日までの一時的な処置を下した。アリト判事は2022年の「ドブス判決」で知られる保守派判事であり、この判決により全米の中絶権が事実上廃止された。

同判事の決定は、中絶薬へのアクセスを巡る混乱が続いていることを象徴するものだ。ルイジアナ州では中絶が原則禁止され、ミフェプリストンとミソプロストールが「規制物質」に指定されているにもかかわらず、毎月約1,000人の患者が遠隔診療で薬剤を入手している。

2024年の判例との類似点

今回のケースは2024年の「FDA v. Alliance for Hippocratic Medicine」と類似している。同訴訟では反中絶医療団体がFDAのミフェプリストン承認そのものの無効を求めたが、最高裁は9対0で原告の医師らに「原告適格なし」と判断した。しかし、州政府には原告適格がある可能性が示唆された。

最高裁の今回の決定は、中絶薬へのアクセスを巡る法廷闘争が今後も続くことを示唆している。