米国の最高裁判所は6月26日、投票権法(1965年)のさらなる骨抜きとなる判決を下した。保守系判事6名による多数派は、ルイジアナ州の選挙区再編に関する「ルイジアナ州対カレイス事件」において、憲法の歴史的経緯や議会の意図を無視し、恣意的な解釈で法の適用を歪曲した。
同判決は、黒人有権者の選挙における影響力をさらに低下させるものであり、人種差別是正策の長年の遺産をさらに損なう可能性が高い。ルイジアナ州は2020年の国勢調査後に、6つの選挙区を再編したが、黒人が人口の30%以上を占めるにもかかわらず、黒人多数派選挙区は1つのみとなった。黒人有権者らはこれに対し、選挙区の「割り当て」により選挙の影響力が奪われていると主張し、訴訟を起こした。
下級審では黒人原告側が勝利したが、ルイジアナ州議会は2024年1月に選挙区再編法(SB8)を成立させ、黒人多数派選挙区を2つに増やした。これに対し、自称「非黒人有権者」らが新たな選挙区は違憲な人種差別的区割りであると主張し、再び訴訟を起こした。下級審はこれを退け、州側が最高裁に上告していた。
歴史的経緯と最高裁の恣意的判断
今回の判決の本質を理解するためには、1896年の「プレスリー対ファーガソン事件」まで遡る必要がある。当時の最高裁は、公共施設の人種隔離を「分離すれども平等」の原則の下で合憲と判断した。この判決は、黒人差別の合法化につながり、投票権法を含む公民権法制の基盤を揺るがすものとなった。
投票権法は、南北戦争後の憲法修正第13条、第14条、第15条の精神に基づき、人種差別的選挙区割りを禁止し、黒人有権者の選挙参加を保障するために制定された。しかし、最高裁の保守多数派は今回の判決で、これらの歴史的経緯や議会の明確な意図を無視し、選挙区割りにおける人種配慮を事実上否定した。
差別是正策の後退と今後の懸念
エルナ・ケイガン判事は反対意見で、黒人コミュニティが地理的・政治的に団結し、人種差別による逆境に直面しているにもかかわらず、選挙区が「割り当て」られて選挙の影響力を奪われている現状を指摘した。ケイガン判事はこう述べている。
「黒人コミュニティは団結し、選挙の影響力を奪われている。彼らは投票所に行って投票できるが、白人有権者と同じように自らの利益を代表する議員を選出することはできない。彼らの票は他の票よりも価値が低く、政治的発言力につながらないのだ」
今回の判決により、投票権法のさらなる適用制限が進む可能性があり、人種差別是正策の歴史的遺産がさらに損なわれる懸念が高まっている。専門家らは、今後も同様の判決が続く可能性を指摘しており、米国の選挙制度における公平性の低下が懸念される。