BMWの高性能車部門「BMW M」は、新型の二重点火システム「M Ignite」を発表した。この技術は、S58型直列6気筒エンジンを搭載する「M2」「M3」「M4」に採用され、2026年11月から施行される厳格なEuro 7排出ガス規制を満たすことを目的としている。

M Igniteの仕組みと効果

M Igniteは、プレチャンバー点火システムを採用。シリンダーヘッド内に設置されたプレチャンバーは主燃焼室とつながっており、それぞれに点火プラグとイグニッション・コイルが装備されている。

その動作は以下の通りだ:

  • 低・中回転域:通常通り、主燃焼室の点火プラグが先に点火し、プレチャンバーは補助的に機能する。
  • 高回転域:プレチャンバーが主導し、燃料と空気の混合気がまずプレチャンバーに送り込まれて点火。その後、超音速の「点火ジェット」が主燃焼室に噴出し、瞬時に主燃焼室内の混合気に引火する。これにより、燃焼速度が大幅に向上する。

このシステムにより、以下の効果が得られる:

  • ノッキングの発生を抑制
  • 排気ガス温度の低下
  • 圧縮比の向上
  • 高回転域での燃費向上

エンジン性能への影響

BMW Mは、M Igniteの採用によりエンジンの基本特性を維持しつつ、性能を向上させたと発表。具体的には、以下の改良が施された:

  • 新型ターボチャージャー(可変タービンジオメトリー搭載)の採用
  • 排気ポート、カムシャフト、ピストンの最適化

「M Igniteはエンジンのサウンドや性能特性を損なうことなく、燃費を向上させる」とBMW Mは説明。特に高回転域や高負荷時の燃費改善が顕著だという。

開発責任者のコメント

「S58エンジンの基本特性は変わっていません。技術的な改良により、従来と同等の性能を維持しつつ、法規制を満たし、さらには一部の走行状況では性能を向上させることができました。新たに搭載した可変タービンジオメトリー付き排気ターボチャージャーにより、レスポンスが大幅に向上しています」
アレクサンダー・カラジョルビッチ(BMW M GmbH 開発責任者)

「最大出力とトルクはM Igniteにより変わりません。しかし、実際の走行、特にダイナミックな運転時には、燃費の大幅な削減が実感できます。特に高回転域や高負荷時の燃費改善が顕著です」

今後の展望

BMW Mは、M Ignite技術を他のモデルへも展開する可能性を示唆。今後、さらなる排出ガス規制強化に対応するためのソリューションとして、この技術が重要な役割を果たすと見られている。

出典: Hagerty