米食品医薬品局(FDA)は、臨床試験の効率化に向けた新たな取り組みを発表した。同局はまず、アストラゼネカとアムジェンが実施する臨床試験のデータをリアルタイムで審査する体制を整えた。さらに、AIを活用した安全性監視や投薬量の最適化、安全信号の特定、患者募集の改善を目指すパイロットプログラムの実施に向け、一般から意見を募集している。

これらの取り組みでは、パラダイム・ヘルスが開発したリアルタイムデータプラットフォームを活用し、規制当局と企業間のデータ送受信にかかる時間を短縮することを目指す。FDAのロバート・カリフ長官は記者会見で、同プラットフォームを通じて安全信号や臨床エンドポイントを確認できるようになると説明した。

ファイザー、心臓病治療薬の特許紛争を和解

一方、ファイザーは心臓病治療薬「ビンダマックス(一般名:タファミジス)」の特許紛争を、ジェネリック医薬品メーカー3社と和解した。これにより、同薬の特許保護が2031年まで延長され、安価な後発品の市場参入が遅れる見通しとなった。

和解の対象となったのは、デキセルファーマ、ヒクマ・ファーマシューティカルズ、シプラの3社。いずれも米デラウェア連邦地裁で行われた特許侵害訴訟を巡るもので、ファイザーは今週始まった裁判を回避した。ビンダマックスは、心臓アミロイドーシスと呼ばれる重篤な心疾患の治療薬で、2025年には米国で約64億ドルの売上を記録した。

特許保護の延長により、米国におけるビンダマックスの売上は2029年以降も比較的安定的に推移するとファイザーは見込んでいる。これまでは2029年以降の売上急減が予想されていたが、2028年から2031年半ばにかけての売上は安定するとの見通しを示した。

AI活用による臨床試験の革新

FDAの新たな取り組みは、AI技術を活用した臨床試験の効率化にも焦点を当てている。AIは、膨大なデータから安全信号を迅速に特定したり、患者の募集を最適化したりすることで、試験の質と速度を向上させる可能性がある。同局は今後、企業と協力しながら、こうした技術の実用化に向けた具体的な枠組みを検討していく方針だ。

これらの動きは、医薬品開発の迅速化とコスト削減を目指す世界的な流れの一環であり、患者への新薬提供のスピードアップが期待される。

出典: STAT News