テキサス州の公立学校で十戒の掲示を義務付ける州法が、連邦控訴裁により合憲と判断された。5月28日、第5巡回区控訴裁判所は、テキサス州議会が可決した「S.B. 10法案」を支持する判決を下した。同法は、教室内の目立つ場所に十戒の掲示を義務付ける内容で、掲示サイズは最低16インチ×20インチ以上と規定されている。
掲示は特定の版の十戒を使用する必要があり、教室側が費用を負担する義務はないが、法令に適合した掲示物の寄贈は受け入れなければならない。しかし、同法の施行は混乱を招いており、一部の教師は抗議の辞職に追い込まれたとAP通信が報じている。
これまでに2人の連邦判事が同法を違憲とし、25の学区での施行を差し止める判断を下していた。そのうちの1人、フレッド・ビアリー連邦地裁判事は、十戒の掲示が「強制的な教化につながる」と指摘し、公教育における十戒の使用は「伝統的な慣習とは言えない」との見解を示していた。
第5巡回区控訴裁は今回の判決で、S.B. 10法が合衆国憲法修正第1条の「国教樹立禁止条項(Establishment Clause)」および「信教の自由条項(Free Exercise Clause)」に違反しないと結論付けた。さらに、同法は「いかなる宗教的実践や儀式も要求しておらず」、生徒に十戒を教え込むことも、教師に生徒への布教を強制することもないとした。
控訴裁は「原告側は、子どもたちに宗教的言語に触れさせるだけで、強制的な教化の道具になると主張するが、我々は同意しない」と明言した。
一方で、同法を支持する州当局者らは、十戒を単なる歴史的文書ではなく、「道徳的指針」として機能させたい意向を示している。法案の立案者であるフィル・キング上院議員(共和党、ウェザーフォード選出)は6月のインタビューで、「幼稚園から高校まで、毎日教室で十戒を見て、『殺してはならない』『盗んではならない』『嘘をつくな』と学んでほしい」と述べ、さらに「神の言葉や神の掟の重要性を理解させるため、公教育の期間中、毎日教室で目にするようにしたい」と語った。
S.B. 10法に対する異議申し立てを行っている原告団体(テキサス州ACLUなど)は、今回の判決について「合衆国憲法の基本原則と最高裁判例に反する」と批判。同団体は「子どもと保護者の宗教的自由を守るため、最高裁に上告する」意向を表明した。今後、同法が最高裁で審議される場合、同法が歴史的観点から「国教樹立禁止条項」に抵触するか否かが争点となる見通しだ。