電気自動車(EV)の性能向上を巡る議論が加速する中、ヒュンダイの高性能ブランド「N」が新たな岐路に立たされている。同社の新型EV「アイオニック3」にNバッジを与えるかどうか、N部門が検討を進めているという。
Kiaが先月発表した「EV3 GT」は、ほぼ同一のプラットフォームを採用しており、400Vアーキテクチャを採用したEVながら、288馬力(215kW)・468Nmのトルクを発揮する。これは、ガソリン車のホットハッチと同等の性能水準だ。アイオニック3も同様の構造を持ちながら、そのデザインは「Pontiac Aztekとのクロス」と揶揄されるなど、賛否両論を巻き起こしている。
Nブランドはこれまで、400V EVの採用に消極的だった。理由は、冷却システムの不足によりサーキット走行時の性能維持が困難なこと、充電速度の遅さがレース愛好家の支持を得られない可能性があったためだ。しかし、ヒュンダイ欧州のRaf van Nuffel副社長は「Nは常にコーナリングとドライブの楽しさを重視してきた。i30 Nの発売時も、0-100km/hの加速性能だけにこだわったわけではない」と述べ、小型・軽量なアイオニック3であればスーパーカー級の性能は必要ないとの見解を示した。
KiaのEV3 GTに追随か?
KiaのEV3 GTは、アイオニック3と多くの部品を共有しており、ヒュンダイも同様のアプローチでNブランドを展開する可能性がある。N部門は既に「アイオニック5 N」や「アイオニック6 N」を発表しており、電気自動車の走りと楽しさを追求してきた。しかし、400V EVという新たな領域への参入は、Nブランドの伝統的な方針を覆すことになる。
昨年発表されたコンセプトカー「コンセプト3」を受け、ヒュンダイ欧州のXavier Martinet CEOは「コンセプトは非常にスポーティで、Nブランドとの歴史的なつながりもある。検討するに値するテーマだ」と述べ、アイオニック3 Nの可能性に言及していた。
Nブランドの未来を占う
Nブランドの将来像を巡っては、純粋な性能追求から「ドライブの楽しさ」という原点回帰の動きも見られる。アイオニック3 Nが実現すれば、Nブランドは新たな顧客層を獲得する一方で、ブランドの一貫性を維持する難しさにも直面するだろう。同社は今後、Nブランドのラインアップ拡大に向けた具体的な発表に注目が集まる。