米国食品医薬品局(FDA)は、精神疾患治療薬として注目される2つの幻覚物質について、審査プロセスを大幅に加速する方針を発表した。具体的には、シロシビン(抑うつ症治療)とメチロン(PTSD治療)が対象で、いずれも「国家優先バウチャー」の発行が決定された。

このバウチャーにより、通常6カ月以上かかる審査が、わずか1〜2カ月に短縮される見込みだ。FDAのロバート・カリフ長官は、「これらの物質は、治療抵抗性うつ病やアルコール依存症など、深刻な精神疾患や薬物乱用問題に対処する可能性を秘めている」と述べた。

シロシビンについては、2018年に「画期的治療薬」に指定されており、治療抵抗性うつ病患者に対する臨床試験で顕著な改善が確認されている。現在、Compass Pathways(英国)やUsona Institute(米国)が第3相臨床試験を実施中で、FDA承認を目指している。また、Helus Pharma(カナダ)も、シロシン(シロシビンの活性代謝物)を用いた第3相試験を進めている。

メチロンについては、MDMAに類似した化合物で、昨年に「画期的治療薬」に指定された。第2相試験では、重度のPTSD患者に対して「迅速かつ持続的な改善」が確認されており、Transcend Therapeutics(米国)が第3相試験を開始している。

さらにFDAは、アルコール依存症治療の可能性が期待されるイボガインの初期段階の臨床試験も承認した。イボガインはPTSD治療への応用も検討されており、米国で初めてのヒトを対象とした研究となる。

米保健福祉省ロバート・F・ケネディ・ジュニア長官は、「これらの幻覚物質療法は、精神疾患治療の新たな可能性を切り開く」と述べ、研究促進の重要性を強調した。また、Psychedelic Medicine CoalitionのCEOであるメリッサ・ラヴァサニ氏は、「この措置により、治療薬へのアクセスが大幅に加速される」とコメントした。

出典: Reason