ニューヨーク州裁判所、イスラエル史の主張を却下

ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所のジャンネット・バルガス判事は9日、ニューヨーク市立大学(CUNY)で反ユダヤ主義が横行しているとの訴訟において、イスラエルの歴史に関する主張を却下する判決を下した。

訴訟の概要

原告のアブラハム・ゴールドスタイン氏は、CUNYマンハッタンコミュニティカレッジで助教授として勤務するイスラエル人、正統派ユダヤ教徒、シオニストである。同氏は、キャンパスで開催された「パレスチナ連帯シリーズ」と呼ばれるプログラムに対する苦情を申し立てた後、差別や報復を受けたと主張。宗教および出身国に基づく差別と報復を理由に、連邦民権法第7編、ニューヨーク州人権法、ニューヨーク市人権法、ニューヨーク民権法に基づく主張、およびデュー・プロセスと平等保護の権利侵害を理由とした42 U.S.C. § 1983に基づく主張を提起した。

歴史的主張の却下

被告のナディア・A・サレハ氏は、第三次修正申立書の第34~46段落を却下する動議を申し立てた。これらの段落は、イスラエル国家の歴史的起源について、聖書時代からローマ帝国時代、現代に至るまでの出来事を概説する内容であった。

バルガス判事は、連邦民事訴訟規則第12条(f)に基づき、これらの歴史的主張を却下する判決を下した。同規則では、冗長、重要性のない、不適切、あるいは醜悪な内容を訴状から除去することが認められている。

「重要性のない内容とは、救済を求める主張と本質的または重要な関係を持たないものであり、不適切な内容とは、争点の解決に必要のない、あるいは関係のない陳述である」

バルガス判事は、歴史的事実に関する主張が原告の差別・報復の主張と直接的な関係を持たないことを指摘。特に、紀元前136年に起きた出来事に関する主張について、被告に対し認否を求めることは無意味であり、むしろ不当な負担を強いると判断した。

却下された主張の内容

却下された第34~46段落には、以下のようなイスラエル国家の歴史的主張が含まれていた。

  • ユダヤ人は中東に起源を持ち、聖書で「イスラエルの地」と呼ばれる故郷を1,400年以上にわたり形成。統一イスラエル・ユダ王国時代には主権国家として、あるいは外国支配下で存続。
  • エルサレムは「シオン」とも呼ばれ、ユダヤ教の中心地として機能。
  • ローマ帝国によるユダヤ人追放(紀元前136年)から現代に至るまでの歴史的経緯。

判事は、これらの主張が原告の差別・報復の主張と直接関連しないだけでなく、パレスチナ国家とイスラエル国家の分離に関する論争的な内容を含むことから、被告に不当な負担を強いる可能性があると結論付けた。

判決の意義

この判決は、訴訟における主張の範囲と関連性の重要性を改めて示すものとなった。歴史的事実の主張が、現実の差別や報復の有無を判断するための根拠とはならないことが明確化された。

出典: Reason