ドイツ自動車大手ポルシェは、電気自動車(EV)戦略の行き詰まりと需要低迷、関税コストの負担により、大規模な経営再編に踏み切った。同社は今週、500人以上の従業員削減と複数のEV関連子会社の閉鎖を発表した。

子会社閉鎖と大規模なリストラ

ポルシェは、EV専門子会社のCellforce Group(バッテリー技術)、Porsche eBike Performance(電動自転車駆動システム)、Cetitec(自動車開発コンサルティング)の3社を閉鎖する。これにより、合計500人以上の雇用が失われる見込みだ。

  • Cellforce Group:高性能リチウムイオン電池の開発を手掛けるバッテリー技術ベンチャー。将来のEVやモータースポーツ向けに技術供給していたが、長期的な事業性が見込めないとして閉鎖。従業員50人が解雇される。
  • Porsche eBike Performance:電動自転車の駆動システムとハードウェアを専門とする部門。市場環境の変化により事業継続が困難となり、360人が解雇される。
  • Cetitec:ドイツとクロアチアで自動車開発プログラム向けのエンジニアリング・コンサルティングを提供していた。ドイツで60人、クロアチアで30人の従業員が解雇される。

経営陣の刷新と戦略の見直し

CEOのマイケル・ライターズ氏は、「ポルシェはコア事業に再集中しなければならない。そのためには、EV関連子会社を含む痛みを伴うリストラが不可欠だ」と述べた。同社はまた、専門のソフトウェア部門であったCar-ITを研究開発部門に統合し、経営陣の再編を発表した。

同社は数年前、メルセデス・ベンツからサジヤード・カーン氏を招聘し、専門のソフトウェア役員を新設。同氏はポルシェのインフォテインメントやデジタル体験の近代化を担当し、電気版カイエンのリデザインされたコックピットやコネクテッド機能の導入に貢献した。しかし、その報酬は昨年140万ユーロ(約165万ドル)に上ったと報じられている。

製品戦略の矛盾と市場の課題

ポルシェの製品戦略にも大きな課題が浮き彫りとなっている。同社は今夏、ガソリン車のMacanの生産を終了する予定だが、米国をはじめとする主要市場では電気版Macanへの関心が依然として低い。新型のガソリン・ハイブリッドMacanが投入されるのは2028年頃と見られ、その間に販売の空白が生じる可能性がある。

さらに、中国市場では地元のEVメーカーが安価で技術力の高いモデルを投入しており、ポルシェの販売が低迷している。同社は今後、EV戦略の見直しと並行して、内燃機関(ICE)車の強化に注力する方針だ。

まとめ

ポルシェはEV一辺倒の戦略からの転換を余儀なくされ、コア事業への回帰を迫られている。リストラや子会社閉鎖を通じて経営基盤の立て直しを図る一方で、新型ICE Macanの発売までの空白期間が経営に与える影響が懸念される。同社の今後の動向に注目が集まる。

出典: CarScoops