中国EV市場に暗雲、前年比20%減の衝撃

2024年1月から3月までの中国における電気自動車(EV)の新車登録台数は、前年同期比で約20%減の120万台にとどまった。これは、EV購入時の税控除が終了したことが主な要因とされる。特にエントリーレベルのEV市場では、かつて購入価格の最大3分の1をカバーしていた補助金が打ち切られたことで、需要が大幅に落ち込んでいる。

BYDとジーリー、輸出で巻き返しを図る

中国EV市場のリーダー格であるBYDの販売台数は、前年比でほぼ40%減少した。同社はこの打撃を受け、輸出に注力しており、2024年Q1には30万台以上を海外に出荷した。これは前年同期比で10万台以上の増加に相当するが、それでも国内の販売減少を埋め合わせるには不十分だ。一方、ジーリーは輸出をほぼ倍増させ、14万7300台を海外に送り出した。

生産能力の過剰が懸念材料に

中国メディアによると、BYDは今後、生産能力の過剰に直面する可能性が高い。過去数年間で急拡大した生産ラインは、EV販売のさらなる成長を見込んで整備されたが、需要の落ち込みにより稼働率の低下が懸念される。

ドイツ自動車大手5社、中国市場でシェアを喪失

ドイツ自動車大手5社(フォルクスワーゲン、アウディ、BMW、メルセデス・ベンツ、ポルシェ)の中国におけるEV販売シェアは、2024年Q1に1.6%にまで低下した。これは過去最低の記録であり、登録台数はわずか1万9200台にとどまった。前年同期比では55%の大幅減となっている。

特にフォルクスワーゲンはEV販売が72%以上減少し、BMWも65%近くの減少を記録した。メルセデス・ベンツは14%の減少にとどまったものの、依然として厳しい状況が続いている。

ドイツメーカー、中国企業との提携でコスト削減に注力

ドイツメーカー各社は、中国市場での競争力強化を目指し、現地企業との提携を加速させている。アウディはSAICと共同で中国専用ブランド「AUDI」を立ち上げ、既に3車種目のEVを発表した。フォルクスワーゲンはXpengと提携し、北京モーターショーで「ID. Aura T6」と「ID. Unyx 09」を発表した。これらの現地生産により、コストを少なくとも40%削減できると見込まれている。

メルセデス・ベンツは、中国市場向けに「GLC EQ」と新型電気自動車「Cクラス」を発売する一方で、現地企業と提携して中国専用モデルの生産を開始した。BMWも「iX3」と「i3」の中国市場向けロングホイールベース版を投入したが、依然として回復の兆しは見えない。

専門家「回復には時間がかかる」

「中国EV市場の落ち込みは一時的なものではなく、構造的な変化の兆しだ。特に補助金の打ち切りは、エントリーレベルのEV市場に大きな影響を与えた。ドイツメーカーも中国企業との提携を強化しているが、回復には時間がかかるだろう」
(自動車アナリスト、匿名)

今後の展望と課題

中国政府は今後、EV市場の活性化に向けた新たな政策を検討しているが、具体的な発表はまだない。ドイツメーカーにとっては、中国市場での競争力を維持するために、さらなるコスト削減と現地ニーズに合った製品開発が急務となっている。

出典: CarScoops