暗号資産先物取引が「ギャンブル超アプリ」の覇権を握る
米国の暗号資産(仮想通貨)市場で、恒常的な取引市場の導入が相次いでいる。Kalshiは米国向けの暗号資産恒常先物取引の提供準備を進めており、Polymarketは本日、恒常契約の導入を発表し、早期アクセス登録を開始した。一方、Hyperliquidは独自の改善提案(HIP-4)を通じて、出来事型トークン取引のサポートを明記している。
ユーザーを引き留める「恒常的な投機ループ」
Pump.funをはじめとする4つのプラットフォームに共通するのは、ユーザーを「恒常的な投機ループ」に閉じ込める仕組みだ。コインの閲覧、クリエイターのフォロー、ライブストリーム視聴、トークンの交換まで、アプリ内で完結させることで、ユーザーのエンゲージメントを維持し、離脱コストを高める戦略が採られている。
Hyperliquidの実績と将来構想
Hyperliquidは現在、30日間で約1,910億ドルの恒常先物取引高、6,100万ドルの手数料収入、73億5,000万ドルの未決済残高(オープンインタレスト)を記録している。これは、実質的な総手数料率が約0.031%に相当する。同社はさらに、出来事型トークン取引の導入に向けた準備を進めており、テストネット上で3分決済のバイナリーオプションを公開している。
KalshiとPolymarketの収益性の高さ
Clear Streetの推計によると、2026年にはKalshiが960億ドル、Polymarketが840億ドルの出来事型市場取引高を見込んでおり、それぞれの手数料率は約2%と0.5%とされる。この数値は、Hyperliquidの恒常先物取引(手数料率0.031%)と比較して、Kalshiは64倍、Polymarketは16倍の収益性を示す。出来事型取引は、恒常先物取引に比べて高い収益性を生み出す構造となっている。
短期・高頻度取引が主流に
2024年3月にFinancial Timesが報じたところによると、PolymarketとKalshiでは、5分および15分の暗号資産取引が1日当たり約7,000万ドルの取引高を生み出し、両プラットフォームの総取引高の過半数を占めている。この短期取引の優位性が、Hyperliquidのテストネットに3分決済のバイナリーオプションを導入する背景となっている。
プラットフォームごとの戦略の違い
Hyperliquid:パーミッションレスな恒常先物取引とオンチェーン最大級の注文板を特徴とする。HIP-3プロトコルにより、カスタム恒常先物契約の展開が可能。出来事型トークン取引の手数料は、決済時のみ発生する仕組みで、参入コストを抑えつつ、離脱コストを高める設計となっている。
Kalshi:米商品先物取引委員会(CFTC)の規制下で、週次・月次を中心とした出来事型契約を展開。2024年3月には連邦裁判所が、ニュージャージー州のスポーツイベント契約阻止措置を連邦法が上回る判決を下し、規制面での優位性を確立した。現在は暗号資産恒常先物の導入準備を進めている。
Polymarket:出来事型市場を中心に展開し、短期取引の拡大により連続的な収益を確保。恒常契約の導入で、既存のビジネスモデルに新たな収益源を加える戦略を採用している。
今後の展望:収益性とユーザー維持の両立
暗号資産市場では、短期・高頻度取引が主流となりつつあり、プラットフォーム間の競争が激化している。恒常先物取引や出来事型トークン取引の導入により、ユーザーを引き留めるだけでなく、収益性の向上も図られている。今後、これらのプラットフォームが「ギャンブル超アプリ」としての地位を確立するか注目される。