米国の食品医薬品局(FDA)は、一般的に地味で予測可能な政府機関と見なされていた。しかし、現在のFDAは、まるで連続ドラマのような展開を見せており、そのクライマックスは業界全体を巻き込むサスペンスとなっている。直近では、FDAのトップであるマーティ・マカリー長官の解任が取り沙汰され、金曜日に波乱が起きた。

なぜ重要か: FDAは米国経済の5分の1を規制しており、組織の混乱や突然の政策変更、政治的介入は、現実的な混乱を引き起こす可能性がある。

現状: ジョンズ・ホプキンス大学の医師であり研究者でもあるマカリー長官は、複数のメディアが解任を報じた後、一時的に続投が決まったと見られていた。しかし、この展開はまだ流動的だ。

マカリー長官の功績と課題:

  • 妊娠中絶用ピルやフレーバー付き電子タバコ、ワクチン問題、希少疾病治療薬などをめぐる議論を巻き起こした。
  • 一方で、医薬品承認や臨床試験の迅速化、規制負担の軽減といった改革も進めてきた。
  • これらの政策は、長官の続投の有無にかかわらず、今後数か月で実を結ぶ見込みだ。

背景: 金曜日にマカリー長官の解任報道について尋ねられたトランプ前大統領は、「その話は聞いたが、詳細は知らない」と述べた。ホワイトハウスからはコメントがなかった。 Politicoによると、マカリー長官の解任を推進していたのは、保健社会福祉省(HHS)の幹部であり、ホワイトハウスではなかったという。報道は全て、トランプ前大統領がしばしば方針を変更する可能性を考慮すべきだと指摘していた。この点は、今後も念頭に置く必要がある。マカリー長官の続投が決まったとしても、状況は再び変わる可能性がある。

マカリー長官は水曜日に上院歳出委員会で開催される2027年度FDA予算に関する公聴会に出席する予定だ。

今後の展望: もしマカリー長官が辞任すれば、FDA内部からより穏健な人物が後任に就くと見られている。候補者として、食品担当副長官のカイル・ディアマンテスが挙げられている。また、トランプ前大統領が第一期政権時代の元FDA長官であるスティーブン・ハーン氏やブレット・ジロアール氏を再起用する可能性も指摘されている。

Capstone社のアナリスト、ウィル・ハンフリー氏は先週末に発表したレポートで、「ホワイトハウスは、最近の同政権の方針に沿って、より産業界に配慮した、混乱を招かない長官を指名すると見込まれる」と述べた。

業界への影響: 大手製薬企業やバイオテック企業にとって、FDAの動向は重要だ。同局は治療薬の安全性と有効性を評価する責任を負っており、業界はより予測可能な運営を求めている。

その一方で、評価業務を担う職員の減少が懸念されている。今月、マカリー長官は3,000人の科学者を新たに採用する計画を発表したが、Raymond James社のアナリスト、クリス・ミーキンス氏によると、生物製剤・医薬品評価センターの職員数は、トランプ前大統領の就任以降、19%以上減少しており、センター長や副センター長などの重要なポストに空席が目立っている。

さらに、がんやADHD、希少疾病治療薬などの実験的治療薬に関する重要な決定が控えている。 ModernaのmRNAインフルエンザワクチンについても、当初は評価を拒否していたFDAが、後に方針を転換した経緯がある。

今後の注目点: FDAの新たなリーダーシップが、これらの重要な決定にどのような影響を与えるのか、業界関係者は注視している。

出典: Axios